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II-S-4 |
成人例におけるBrugada症候群の心電図診断とリスク評価 |
横浜南共済病院循環器内科1),都立広尾病院循環器科2),東京医科歯科大学3)
西崎光弘1),山分規義1),宮地浩太郎1),仁木沙織1),林 達哉1),田中泰章1),藤井洋之1),足利貴志1),櫻田春水2),平岡昌和3) |
Brugada症候群は明らかな器質的心疾患を認めず,心電図上,V1~V3 誘導においてcoved型およびsaddleback型の特徴的なST上昇波形を示し,心室細動により突然死を来す疾患として知られている.本邦では,小児ばかりでなく,成人においてもBrugada型の心電図異常は健診で検出される例が多く,かつ無症候性の頻度が高いため,ST-T波形の評価および影響因子・リスクの検討は極めて重要である.一方,Brugada症候群におけるST-T波形変化はしばしば日内および日差変動を示し,予後との関係について注目されている.特に,ST-T波形の日内変動は,自律神経活動の変化によって生じやすく,その他,発熱,体位および呼吸変動,食事摂取などによっても影響され,多因子的要素が関与していると考えられている.また,時期によってST波形が改善し,正常化する例も認められるため,Naチャネル遮断薬の負荷試験や 1~2 肋間上および糖負荷試験中(インスリン高値を伴う)の記録により,ST偏位を増強または顕性化することでしばしば診断されることもある.近年,Heart Rhythm Societyの報告では,V1~V3 誘導のST部分の異常をST上昇波形(J点 ≧ 2mm)において,coved型およびsaddleback型をそれぞれtype 1,およびtype 2,3 として分類している.さらに,type 1 のcoved型は心室細動および突然死の発生と密接に関連しており,特にcoved型の自然発症はハイリスク群につながり,心臓電気生理学的検査の適応およびICD治療における重要な指標になると考えられている.この点,12誘導心電図記録によるST-T波形の日内変動と影響因子との関係を検討することは臨床的意義が高いものと考えられる.以上,成人例におけるBrugada症候群の心電図診断と影響因子およびハイリスク群の検出について報告する. |
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