II-S-6
若年者の持続性心室頻拍の特徴と治療
新潟大学医学部保健学科1),新潟大学医学部第一内科2)
池主雅臣1),古嶋博司2),相澤義房2)

当科で治療を行った持続性心室頻拍(VT)の218例を40歳未満のA群(44例,年齢25 ± 9 歳)と40歳以上のB群(174例,年齢61 ± 9 歳)に分け,若年者VTの特徴と治療成績を検討した.先天性QT延長症候群,Brugada症候群,非持続性心室頻拍の症例は除外した.B群は器質的心疾患を有する症例が多く(93%),内訳では虚血性心疾患(44%),拡張型および肥大型心筋症(28%),催不整脈性右室心筋症(8%)が上位を占めた.A群で器質的心疾患がみられたのは34%にとどまり,内訳も先天性心疾患術後(20%)と拡張型心筋症(9%)が上位であった.先天性心疾患術後例のVTは手術傷または肥大した右室を不整脈基盤とするリエントリー頻拍で,多源性VTが多かった.左心機能は良好な例が多く,カテーテルアブレーションと薬物療法であっても,EPSガイドで治療を行うことができた症例は良好に経過している.拡張型心筋例のVTの特徴はA・B群ともに類似しており,薬物治療とカテーテルアブレーションに難治性であった.A群には器質的心疾患のみられない症例が半数以上みられ,このうちベラパミル感受性の左室特発性VTと右室流出路起源の特発性VTはカテーテルアブレーションで高率に根治することができた.また運動誘発性VTにはb遮断薬が有効であった.ICD治療を行った症例はA群の25%,B群では50%であった.経過観察中(51 ± 37カ月),A群の 3 例(7%)(心不全が進行した先天性心疾患術後例,心サルコイドーシス例,拡張型心筋症例),B群の31例(18%)に心臓死がみられた.若年者のVTは器質的心疾患がみられない場合も多く,全体としての治療成績は比較的良好と思われた.しかし今回の対象は内科治療の年齢(平均25 ± 9 歳)に達した症例が大部分であるため,幼小児期のVTの特徴と予後に関しては別に検討する必要がある.

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