![]() ![]() |
II-B-8 |
ベプリジルは血中濃度に依存せず小児心房性不整脈に有効である |
福岡市立こども病院循環器科
牛ノ濱大也,佐川浩一,中村 真,石川司朗 |
【背景・目的】ベプリジルは,Naチャネル阻害,Caチャネル阻害,Kチャネル阻害作用を有し,成人では心房細動に有効であることが報告されている.小児での使用経験は少なく,小児循環器不整脈疾患に対するベプリジルの有効性について検討した.【対象・方法】17例(女性 7 例,10歳以下12例),平均年齢10歳(5 カ月~26歳),基礎心疾患:先天性心疾患CHD術後 9/TCPC術後 3/BDG術後 3/Rastelli術後 1/僧帽弁人工弁置換術後 1/BT術後 1,肥大型心筋症(HCM):2,基礎心疾患なし:6),不整脈:CHD術後:心房内リエントリーIART 5/心房細動Af 1/異常自動能 1/心室頻拍VT 2,HCM 2(姉妹例,VPC,失神歴あり),基礎心疾患なし:異所性心房頻拍EAT 4/房室回帰性頻拍AVRT 1/VT 1.全例β遮断剤を併用している.以上を対象に投与量,血中濃度,効果,副作用,および投与前後の心電図変化,心機能について検討した.【結果】投与量:10歳以下2.1 ± 0.5mg/kg/日,1.6~3.0mg/kg/日;10歳以上0.9 ± 0.7mg/kg/日,2.1~3.7mg/kg/日.血中濃度:10歳以下87 ± 119ng/ml,20~445ng/ml;10歳以上684 ± 267ng/ml,347~1,060ng/ml.10歳以下では血中濃度が低く,血中濃度と有効性に相関は認められなかった.効果:有効10(CHD術後:IART 5/Af 1/VT 1,基礎心疾患なし:EAT 3),無効 5(CHD術後:異常自動能 1/VT 1,基礎心疾患なし:EAT 1/AVRT 1/VT 1),判断不能 2(HCM).副作用:一過性QT延長 1.HR(前/後;87/80bpm),QTc(0.445/0.445),EF(59/65%).HRおよびEFは前後で有意差を認めた.【考察】ベプリジルとβ遮断剤の併用療法は,CHD術後を含む小児心房性頻脈性不整脈においても有望な抗不整脈薬であると考えられ,経験の蓄積が望まれる. |
![]() |
閉じる |