![]() ![]() |
II-B-9 |
Fontan型手術後の左心低形成症候群の問題点 |
福岡市立こども病院循環器科1),福岡市立こども病院新生児循環器科2),福岡市立こども病院心臓血管外科3)
阿部正徳1),石川司朗1),松村昌治1),成田純任1),石川友一1),中村 真1),佐川浩一1),牛ノ濱大也1),総崎直樹2),角 秀秋3) |
【背景】HLHSのFontan型手術到達例が徐々に増加しているが,まとまった遠隔成績は把握されていない.【目的・対象】当院が経験したHLHSのうち,Fontan型手術(F術:TCPC手術)に到達した31例(3~10歳)と,他の右室型単心室のF術後(non-HLHS;121例 3~36歳)と比較した.検討項目は身体発育指標,血行動態指標,精神運動発達指標(遠城寺式,HLHSのみ)とした.【結果】データはHLHS vs non-HLHSの順に表示した.F術後生存率:それぞれ 2 例,3 例を失った(生存率94 vs 98%).以降の解析は長期生存者とした.身体発育指標(10歳まで):身長;94.6 ± 5.8:95.5 ± 5.5% N(n = 29:58),体重;84.7 ± 12.0 vs 88.3 ± 14.1% N(n = 29:58),両群間に有意差なし.運動能:性と年齢を一致させた% normal値で示す.最高酸素消費量;93.3 ± 18.8 vs 86.9 ± 20.0(%N,n = 8:87),最高心拍数;86.5 ± 13.5 vs 88.9 ± 11.3(%N,n = 8:87)両群間に有意差なし.血行動態指標:心係数;3.8 ± 0.7 vs3.7 ± 1.0(l/min/BSA,n = 29:77),中心静脈圧;11.2 ± 2.1 vs 9.8 ± 3.1(mmHg,n = 29:77,p < 0.05).SpO22;94.4 ± 3.7 vs 95.0 ± 4.5(%,n = 28:108).血漿ANP,BNP値:hANP34.26 ± 18.9 vs 35.7 ± 29.0(pg/ml,n = 21:104),BNP:23.9 ± 19.5 vs 31.91 ± 55.1(pg/ml,n = 21:104)両群間に有意差なし.精神運動発達指標(DQ,n = 6):移動運動73.2,手の運動80.3,基本的習慣80.3,対人関係73.4,発語75.0,言語理解78.8.【考案】今回の対象となっていないF術後の死亡率はHLHS群がより厳しい結果であった.一方,生存するF術後HLHS群は中心静脈圧がわずかに高値である以外,身体発育指標,血行動態指標,血漿ANP・BNP値および運動能にnon-HLHSとの有意差は認めなかった.しかし,精神運動発達面ではHLHS群に明らかな遅れが認められ,長期フォローには医療面のみならず療育面にも支援が必要である. |
![]() |
閉じる |