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II-B-12 |
両方向性グレン手術(BDG)前後における房室弁逆流,弁形成に関する検討 |
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児科1),岡山大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科2),岡山大学大学院医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学3)
日置里織1),大月審一1),岡本吉生1),山内 泉1),堀川定儀1),森島恒雄1),石野幸三2),笠原真悟2),佐野俊二2),竹内 護3) |
【目的】機能的単心室症例において房室弁逆流は重要な予後因子の一つとされる.BDG前後における房室弁逆流の変化を評価し,重度弁逆流症例の検討から,BDG術時における房室弁形成について考察する.【対象・方法】1992年以降14年間に当施設でBDG術を施行した症例のうち,BDG術前後に房室弁逆流の評価をし得た156症例を対象とした.房室弁逆流はおもに心エコー検査所見より 1~4 度に分類,1 度:僅少,2 度:軽度,3 度:中等度,4 度:重度とした.【結果】(1)術前の房室弁逆流は 1 度以下が56例,2 度72例,3 度例19,4 度 9 例であった.1~2 度の症例128例中,術後に改善を認めた症例は20例,105例には変化がなく,増悪を来した症例は 3 例のみだった.3~4 度の症例28例中では術後改善を認めた症例が21例,7 例は変化がなかった.(2)BDG術前に 3~4 度の房室弁逆流を認めた症例のうちBDG時に弁形成を施行した14例をA群,施行しなかった14例をB群とした.弁逆流の原因は,心エコー検査上A群は弁形態異常が主体であり,B群は弁輪拡大がおもな要因とされていた.両群の比較検討では,BDG施行時年齢はA群で 4 カ月~10歳(中央値 1 歳),B群で 1 カ月~6 歳(中央値 8 カ月)だった.房室弁の形態はA群ではT弁が 4 例(29%),CAVVが10例(71%),B群はT弁 8 例(57%),CAVV 3 例(21%)であり,A群ではCAVVが多い傾向にあった.術後A群では12例(86%)で房室弁逆流が軽減し,再度弁形成を必要とした症例は 2 例,さらにFontan術時に 3 例で弁形成を追加した.B群では術後 9 例(64%)で軽減を認め,残りの 3 例はFontan術時に弁形成を実施されていた.術前後の房室弁径の変化,BNP値は両群間で有意差は認めなかった.【結語】BDG術前後では容量負荷の減少に伴う弁逆流の改善も期待できるが,房室弁形態によっては,BDG時に積極的に房室弁形成を施行したほうが望ましいと考えられた. |
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