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II-B-53 |
低侵襲人工心肺導入によるNorwood型手術成績の向上 |
北里大学医学部心臓血管外科1),北里大学医学部小児科2)
宮地 鑑1),宮本隆司1),友保貴博1),鳥井晋造1),小原邦義1),中畑弥生2),石井正浩2) |
【目的】本邦におけるNorwood型手術成績の向上は手術症例数の多い施設では目ざましいものがある.一方,少数症例数施設の成績との格差は依然として残っているのが現状である.われわれの施設ではNorwood型手術成績向上のため,低侵襲人工心肺を導入するとともに手術術式を大きく転換した.新たな手術方針による手術成績の向上を低充填量生体適合性人工心肺の低侵襲性の観点から検討した.【対象と方法】2000年 6 月~2005年12月の 5 年 6 カ月に当院で施行されたNorwood型手術:13例を対象とした.2003年 9 月以前の 7 例(前期:I群)と以後の 6 例(後期:II群)とに分けた.I群では心拍動下にNorwood型手術を施行.II群では低充填量でPMEA coatingされた人工心肺回路を導入,大動脈再建を心停止下に施行した.両群ともRV-PA conduitを使用した.人工心肺充填量はI群:215ml(190~350ml),II群:160ml(140~170ml)であった(p < 0.05).両群間で手術成績と人工心肺の低侵襲性の指標として術中の体重増加率(%BWG)と術後3日間のCRP(mg/dl)最高値(p-CRP)を検討した.【結果】手術死亡はI群が 7 例中 3 例(42.9%)に対して,II群が 6 例中 1 例(16.7%)であった.手術時間(I群:412 ± 64分vs II群:359 ± 53分,p = 0.13)と二期的胸骨閉鎖までの期間(I群:3.8 ± 1.5日vs II群:2.2 ± 0.4日,p = 0.06)はII群で短い傾向はみられたが有意差は認めなかった.人工心肺時間(I群:263 ± 63分 vs II群:171 ± 28分,p < 0.05),%BWG(I群:6.9 ± 3.0% vs II群:6.2 ± 5.8%,p < 0.05),p-CRP(I群:11.1 ± 7.0mg/dl vs II群:3.6 ± 3.3mg/dl,p < 0.05)はいずれも有意にI群が大きかった.【総括】低充填量生体適合性人工心肺の導入によって,Norwood術後の炎症性反応は軽減し全身浮腫も明らかに軽度であった.低侵襲人工心肺を使用することで心停止下に確実な手術を施行することが可能となり,結果として手術成績は向上したものと考える. |
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