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II-B-57 |
Fontan対象例に対する肺動脈絞扼術―低体重児に対する至適肺動脈絞扼の検討― |
大阪府立母子保健総合医療センター心臓血管外科1),大阪府立母子保健総合医療センター小児循環器科2)
盤井成光1),岸本英文1),川田博昭1),上仲永純1),石丸和彦1),萱谷 太2),稲村 昇2),北 知子2),角由紀子2),青木寿明2) |
われわれは肺動脈絞扼(PAB)の基準を,正常肺動脈弁輪周径(n-PVC)の85%前後のテープ長としているが,Fontan(F)手術を目指す疾患群の低体重児では十分な絞扼を行うと,急激な体重増加に伴い早期に追加手術を余儀なくされる場合がある.今回F対象例,特に低体重児に対する至適な肺動脈絞扼法について検討した.【対象と方法】F対象例においてPABを施行した33例を,手術時体重 3kg以上の26例(N群)と 3kg未満の 7 例(L群)に分け検討した.PAB時年齢はN群平均87日,L群平均25日,体重はN群3.1~6.7kg(平均4.1kg),L群1.6~2.9kg(平均2.4kg).肺動脈圧,SpO2モニター下に絞扼の微調整を行い,テープ長はN群21~27mm(平均23mm),L群15~21mm(平均19mm)で,n-PVCのN群85 ± 4%,L群82 ± 4%であった.また 6 例(うちL群 4 例)に絞扼テープ長を決定する固定を吸収糸で行い,さらに長い周径の位置を非吸収糸で固定する 2 段階PABを行った.【結果】PAB時の平均肺動脈圧はN群23 ± 5mmHg,L群20 ± 3mmHgで,SpO2はN群84 ± 6%,L群86 ± 5%と 2 群間に差はなかった.2 段階PABを行ったL群の 4 例はPAB後 2~15カ月,体重3.2~7.8kgでチアノーゼの増強を認めたが,うち 2 例はPTA用バルーンカテーテルを用いて抗張力の低下した吸収糸を切断し,他の 2 例は自然に絞扼テープが非吸収糸部まで緩みチアノーゼの改善を認めた.PAB後平均14カ月時の心カテーテル検査では,平均肺動脈圧はN群17 ± 5mmHg,L群18 ± 5mmHgで,SpO2はN群80 ± 7%,L群80 ± 7%,Qp/QsはN群1.4 ± 0.7,L群1.8 ± 0.9といずれも適正な絞扼効果が得られていた.FあるいはGlenn手術時(18例,平均年齢 3 歳 2 カ月,体重12kg)でのPAB/n-PVC比はN群で58 ± 5%に相当し,一方L群の非吸収糸固定部で61 ± 10%と同程度であった.【まとめ】F対象例に対するPABは,n-PVCの85%(3kg新生児ならテープ長21mm)を非吸収糸で固定し,低体重児の場合は21mmを非吸収糸で,80%前後を吸収糸で固定する 2 段階PABが有用であると考えられた. |
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