II-B-58
新生児期に手術介入を必要とし,modified Starnes' operationを行ったEbstein anomaly
長野県立こども病院心臓血管外科1),長野県立こども病院循環器科2)
打田俊司1),内藤祐次1),岡本祐樹1),阿知和郁也1),原田順和1),長谷山圭司2),西澤 崇2),金子幸栄2),松井彦郎2),安河内聰2),里見元義2)

【目的】新生児期に手術介入を必要とするEbstein奇形とその類縁疾患の手術成績はいまだ満足すべきほどではない.当院で経験した症例を検討した.【対象】新生児期に手術を行った 4 例(男 3 人,女 1 人)で,平均手術時日齢10日.疾患はEbstein + PA:2 例,Ebstein + PS:1 例,三尖弁異形成 + PA:1 例.2 例は胎児診断され,当院で出産し患児はNICUで管理されていた.他の 2 例は出生後診断で,他院からの搬送例であった.術前CTRは全員100%で,術前は挿管・人工呼吸管理を必要とした.術式はmodified Starnes' operationを行い,2 例で右心室自由壁切除を併用した.肺血流はPS症例は主肺動脈の結紮を行い,3 例はBlalock-Taussig shunt,1 例でPDA開存により調整した.三尖弁はpuched outしたxenomedica patchにて閉鎖した.【結果】搬送された 2 例は 1 例が術前より全身状態不良でDICと上室性不整脈を合併しており,また,他の 1 例は術後上室性頻拍により死亡した.胎児診断・院内出生症例は術後経過良好で,1 例は段階的手術を行いFontan型手術を終了し,1 例はStarnes'手術後で現在経過観察中である.【結語】胎児診断・母体搬送症例は出生直後より集中管理ができ,良好な術後経過を得られた.術式の工夫としては肺血流をBlalock-Taussig shuntで管理すること,右心室の菲薄化が強く著明な拡大を呈する場合は右室自由壁切除を行う,三尖弁閉鎖パッチは中心にpunch outを行うことで閉鎖腔である右室の減圧をはかることを行った.

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