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II-B-59 |
当院における総肺静脈還流異常症の成績と肺静脈狭窄症に対する治療 |
社会保険中京病院心臓血管外科1),社会保険中京病院小児循環器科2)
櫻井寛久1),櫻井 一1),加藤紀之1),澤木完成1),杉浦純也1),松島正氣2),大橋直樹2),西川 浩2),久保田勤也2) |
【目的】近年総肺静脈還流異常症(TAPVC)の手術成績は著しく改善したが術後肺静脈狭窄(PVO)合併例での予後は不良である.TAPVCの成績と術後PVOに対する治療法を検討した.【方法】1994年 4 月~2005年 8 月に単心室性疾患を合併しないTAPVCと診断され根治術を行った46例に対する手術成績,術後PVOを検討した.【結果】手術時日齢は124 ± 305日(median 31日),体重は4.0 ± 2.2kg,TAPVCの分類は上心臓型22例,心臓型11例,下心臓型 8 例,混合型 5 例であった.手術死亡 1 例,入院死亡 5 例(PVO 2 例,敗血症 1 例,SVC狭窄 1 例,呼吸不全 1 例),遠隔死亡 0 例であった.生存率は 1 カ月97.8%,3 カ月93.4%,5 年88.6%であった.PVOを 7 例(15.2%)に認め 4 例はステロイド投与で改善がみられた.1 例は再手術を行うことなく死亡し,2 例に再手術を行った.1 例はcut backによる拡大を行ったがPVOが進行し失った.1 例は計 3 度外科的にPVO解除術(内膜切除,肺静脈拡大,sutureless)を行い,最終的に外科的にステント留置を行い経皮的にballoon angioplasty(BAP)が容易に行えるよう心房間孔を作成しマーカーをおいた.9 カ月後PVOを認めステント内にBAPを行いPVOが改善された.以後PVOを認めるたびBAPを行い現在経過良好である.【結論】PVOを起こさなかった症例の予後は良好であった.術後PVOに対しステロイド投与が効果的であった症例を認めた.外科治療を必要とする症例でステント留置を行い,経皮的にBAPを繰り返した 1 例は良好な結果を得ることができ手術治療とカテーテル治療によるhybrid therapyは術後PVOに対して有効な治療法になり得ると考えられた. |
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