II-B-60
SVC還流型部分肺静脈還流異常に対する術式の変遷と成績
兵庫県立尼崎病院心臓センター心臓血管外科1),兵庫県立尼崎病院心臓センター小児循環器科2)
西村 崇1),藤原慶一1),大谷成裕1),大野暢久1),森島 学1),藤原靖恵1),坂崎尚徳2),若原良平2),李 進剛2),野本慎一1)

【目的】部分肺静脈還流異常(PAPVR)のなかで上大静脈(SVC)に還流する型では肺静脈狭窄(PVO),SVC狭窄や,刺激伝導系の損傷を回避すべく多くの術式が報告されている.今回,当院における本疾患に対する術式の変遷とその成績について検討を行った.【対象】1976~2005年12月まで経験したPAPVR:30例で,SVC還流型18例を対象とした.手術年齢は11カ月~74歳 1 カ月(中央値:3 歳10カ月),男/女比:13/5 であった.合併心奇形はASD単独例:12例で,sinus venosus ASD:10例,二次口欠損型ASD:2 例であった.他の合併心奇形としてTF:3 例,VSD:3 例であった.PAPVC放置:3 例(A群),肺静脈間シャント:2 例(B群),SVC内でのpatch rerouting:7 例(C群),SVC-RAA吻合:6 例(D群)であった.D群のうち最近行った 4 例はSVCを離断せず再建し,必要な症例では自己心膜など自己組織を使用した.【結果】A群:3 例の術後Qp/Qsは1.11~1.42で,1 例は右心系の容量負荷が進行し,術後17年でQp/Qs:1.9となり再手術を行った.B群:2 例ともにシャント閉塞を来した.C群:7 例中 1 例に術後SVC狭窄を認め,1 例に房室ブロックを認めた.D群:6 例ではSVC狭窄 1 例で,術後 4 カ月目にSVCに対してステント留置術を行った.不整脈,PVOは認めていない.【結語】SVC還流型PAPVRは,放置した場合,短絡量の増加を来すことがあり,可能な限り再建すべきである.再建法としては,SVC-RA吻合術が望ましいが,SVC-RA吻合部に狭窄を生じる可能性があり,吻合法に関しては工夫が必要と思われた.

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