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II-B-63 |
MAPCAに対する治療戦略 |
東京女子医科大学心臓血管外科
石橋信之,新岡俊治,石山雅邦,坂本貴彦,山本 昇,松村剛毅,村田 明,米沢数馬,豊田泰幸,保々恭子,黒澤博身 |
【背景】当院においてはMAPCAに対する治療戦略として,unifocalization(UF)を先行手術として施行するstaged approachを第 1 選択とし,近年は低年齢化を進めることにより心内修復到達率向上,遠隔期右室圧低下を目指している.【目的】当院の治療成績を検討し,MAPCAの治療戦略に関し考察すること.【方法】対象は1982~2005年に,当院にてMAPCAに対し外科治療を行った120例:初回手術時年齢:6.4 ± 6.2歳(1.1カ月~34.3歳),左UF:87例,右UF:86例,その他:21例.対象症例の根治術非到達および根治術後 1 年以内の死亡に対する危険因子の解析を,logistic回帰分析を用い行うとともに,根治術を施行した症例を1995年以前(前期群)1996年以後(後期群)の 2 群に分け比較検討した.生存分析にはKaplan-Meier法,群間比較にはunpaired t-testを用いた.【結果】平均観察期間は8.7 ± 6.2年(0.8カ月~23.6年),staged approachを選択した111例中根治手術到達は88例(79%).対象症例全例の初回手術からの累積生存率は 5 年81.2%,10年74.0%,15年69.7%であり,central PAを認めない症例の生存率は有意に低値であった(5 年60%,10年51.4%:logrank;p < 0.01).根治術非到達および根治術後 1 年以内の死亡に対する危険因子は,術前肺動脈圧高値(p = 0.02)であった.2 群の比較では,後期群で 1st UF,2nd UF,根治術年齢が有意に低値であり,術前PaO2は有意に高値であった.術後平均4.5カ月後のカテーテル検査では,後期群で右室圧/左室圧比は有意に低値(前期vs後期:75% vs 62%;p < 0.05)であり,後期群の累積生存率は 1 年86.8%,5 年86.8%であった.【考察】(1)central PAが存在しない症例および術前PHを有する症例はhigh riskであった.(2)早期のUFおよび根治術は術後右室圧の低下をもたらし,治療成績は良好であった.【結語】MAPCAに対する staged approachの低年齢化は有用であり,右室圧の低下から良好な遠隔成績が期待される. |
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