II-B-64
MAPCAに対する治療戦略の検討
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児科1),岡山大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科2),岡山大学大学院医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学3)
山内 泉1),大月審一1),岡本吉生1),日置里織1),堀川定儀1),森島恒雄1),石野幸三2),笠原真悟2),佐野俊二2),竹内 護3)

【目的】当施設におけるMAPCAを有する先天性心疾患の治療法について検討すること.【対象】過去15年間に当施設で検査・治療を行ったMAPCAを有する先天性心疾患31例.内訳は,PA/VSD 22例,ToF 3 例,機能的単心室 6 例.CATCH 22が 9 例.【結果】全例で選択的MAPCA造影による大動脈からの起始や血流の分布の確認,PAとの交通の有無の確認や圧測定を行い,肺血流シンチの結果と合わせて手術方針が決定されていた.PAとMAPCAに交通を認める症例では 3 例でMAPCA閉塞試験が行われていた.PA/VSDとToF25例では,初回手術としてunifocalization(UF)15例(うち + BTシャント14例),BTシャント(BTS)8 例(うち + MAPCA ligation 3 例),palliative RVOTR 1 例,TAPVC repair + MAPCA ligation 1 例.2 回目の手術はUF 10例(うち + BTS 7 例),根治術 5 例,palliative RVOTR 1 例で,3 回目の手術で10例が根治術を施行.15例が根治術に到達し,6 例は根治術,2 例はUF待機中である.全症例の全経過を通じてカテーテルインターベンションは 9 例14回施行されていた.根治術後 2 例で再手術(re-RVOTR)を施行,最終的にRVP/LVPは中央値0.51(0.36~0.82)であった.一方機能的単心室 6 例では,心血管造影検査にhelical CTを併用しcentral PAの存在が 4 例で確認された.この 4 症例ではFontan手術の適応を目指してcentral PAの発育を促す方針となりpalliative RVOTR 2 例,BTS 2 例が施行され,そのうち 1 例にBAP(2 回)が追加された.2 例はcentral PAが確認できず手術適応なしと判断された.【考察・結語】MAPCAを有するPA/VSD(ToF)では,術前カテーテル検査の詳細な情報をもとに段階的治療が計画され,良好な結果を得た.機能的単心室症例でも可能な限りFontan手術の可能性を期待しcentral PAの発育を促す方針であった.

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