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II-B-65 |
MAPCAに対する治療戦略 |
静岡県立こども病院心臓血管外科
中田朋宏,猪飼秋夫,藤本欣史,太田教隆,村田眞哉,井出雄二郎,坂本喜三郎 |
【目的】当院で初回手術介入を行った,MAPCAを合併したPAVSD(DORV + PA含む)連続22例を検討する.【対象と方法】初回手術時年齢は 1 カ月~6 歳(平均17カ月)で,初回手術が1998年以前の10例(A群)では側開胸での段階的approachを,1999年以降の12例(B群)では胸骨正中切開からの一期的uniforcalization(UF)(10例)または痕跡的central PA(CPA)に対するAP window(APW)(2 例)により可能な限り自己血管壁の連続性を維持する方針とした.【結果】4 例で一期的根治,12例で2.0 ± 0.9回の姑息術後に根治,5 例が待機中,1 例が適応外(脳障害:陳旧性血腫)となった.HD:1(肺炎),LD:1(突然死)をともに根治症例に認めた.根治後の再手術回避率は,2 年で64.3%,5 年で55.1%であり,根治時の右室流出路はMVOP:10,1 弁付きpatch:2,3 弁付き導管:2,生体弁(PVR):2 で行い,再手術時にさらに 5 例でPVRを行った.根治後の右室/左室収縮期圧比(RV/LV)は0.63 ± 0.21,mPA圧は26.4 ± 9.9mmHgと良好であったが,唯一RV/LVが 1 を超えた 1 例がLDとなった.UF困難なCPA無形成(-)または痕跡的(±)(PAI < 50とする)群において,A群のCPA(-):3,(±):1 の全例が異種/自己心膜rollを使用したが,1 例がroll拡大に伴うSVC圧迫にて手術を要し,2 例が極端な肺血流分布不均衡となった.B群のCPA(-):2,(±):5 の全例が自己血管壁の連続性を維持するUFが可能で,肺血流分布の極端な不均衡例はなかった.UFに異種心膜rollを要したCPA(+)の 1 例は遠隔期にrollが閉塞したが,自己血管壁の連続性を維持した吻合での閉塞はなかった.APWの 2 例のCPAは明らかな成長を認め,1 例はUF施行,1 例は待機中である.また末梢性のPSに対するステント留置術が 4 例に施行され,狭窄解除に有効であった.【結論】時代とともに手術方針の変遷があるものの,根治後の経過もおおむね良好であり,より質の高いMAPCA再建のため,血管の成長も含め,可能な限り自己血管壁の連続性を保つ方針が重要であると思われた. |
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