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II-C-2 |
両側上大静脈を有する単心室系疾患に対するGlenn手術の工夫―二期的Fontan手術時の癒着剥離の簡素化― |
順天堂大学医学部心臓血管外科1),順天堂大学医学部小児科2),東京都立墨東病院小児科3)
川崎志保理1),新浪 博1),天野 篤1),秋元かつみ2),稀代雅彦2),大槻将弘2),織田久之2),宮崎菜穂2),田原加奈子2),大高正雄2),大塚正弘3) |
【背景】近年,単心室系心疾患に対する右心バイパス手術はGlenn,Fontan手術を分けて行ういわゆる二期的手術が多くの施設で行われている.一方,再手術に伴う難渋する癒着剥離や合併症の併発も懸念される.【目的】両側上大静脈(bil. SVC)を有する単心室系心疾患に対しては,一般に両側両方向性Glennが選択され,Fontan時には左右のSVCの癒着剥離が必要となる.今回,同症例に対してSVCを一側に統一後,一側両方向性Glennを行う方法を試みたので報告する.【方法および結果】bil. SVCを有する単心室系心疾患 2 例に対して上記方法を試みた.SVCの太さに左右差がないものを適応とした.〈症例 1〉TA(1-a),bil. SVCの男児.1 カ月時にrt modified Blalock-Taussig手術(m-BT)を施行.1 歳 4 カ月時に体外循環使用下にSVC形成と右側Glennを行った.右SVCのみに脱血管を挿入し,左SVCはopenとしてsuctionにて対応した.SVC吻合はGlenn後に行ったがやや視野が得にくい印象があった.それぞれ異常な緊張もなく直接吻合が可能であった.術後右側SVCのCVP:12mmHg,O2 SAT:84%(room air)と良好であった.術後 1 年 8 カ月後の造影にて左右のSVCは良好に発育し吻合部狭窄もなかった.3 歳 2 カ月時にFontan(TCPC)を行った.右側のみの剥離で容易に施行し得た.Fontan後 1 年の造影にて良好なSVCの発育が認められた.〈症例 2〉SV,CAVV,bil.SVCの男児.日齢14時にrt m-BTを施行.1 歳 1 カ月時にSVC形成と右側Glennを行った.左右SVCに脱血管を挿入し,SVC形成後にGlenn行った.初回例と比して手技が容易であった(ビデオまたは写真供覧).術後右側SVCのCVP:11mmHg,O2 SAT:85%(room air)と良好であった.現在Fontan待機中である.【結語および考案】(1)bil. SVCのGlenn時にSVCを一側に統一後,一側両方向性Glennを行う方法を試みた.(2)症例は限定されるが,二期的Fontan時の癒着剥離の簡素化に貢献する手技と思われた. |
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