II-D-52
血管輪の胎児診断
神奈川県立こども医療センター
川滝元良,豊島勝昭,猪谷泰史

【目的】血管輪は乳児期に重篤な呼吸障害や哺乳不良を来す疾患であり,早期診断が困難な疾患である.胎児診断が有用な疾患と考えられるが報告例は極めて少ない.4 例の血管輪を胎児診断したので報告する.【スクリーニング法】three vessel trachea viewで動脈管,大動脈弓,気管の位置を断層エコーとカラードプラで確認する.正常では動脈管と大動脈弓は下行大動脈で鋭角に合流する.気管は大動脈弓の右後方に存在する.血管輪では動脈管と大動脈弓は下行大動脈で鈍角に合流する(Vサイン).気管は動脈管と大動脈弓の間に存在する(Uサイン).【症例】〈症例 1〉妊娠30週のスクリーニングでUサイン指摘され,35週で紹介.右側大動脈弓,左鎖骨下動脈帰始異常,左動脈管による血管輪と診断.出生後 3DCTで診断確定.3 カ月で動脈管切離術施行.〈症例 2〉妊娠24週のスクリーニングで大動脈弓の異常を指摘され,27週で紹介.右側大動脈弓,左鎖骨下動脈帰始異常,左動脈管による血管輪と診断.8 カ月動脈管切離術施行.〈症例 3〉妊娠25週のスクリーニングでUサイン指摘され,26週で紹介.右側大動脈弓,左鎖骨下動脈帰始異常,左動脈管による血管輪と診断.日齢 9 に動脈管切離術施行.術後乳び胸で28日入院.〈症例 4〉妊娠14週のスクリーニングで臍帯ヘルニア指摘され,21週で紹介.血管輪には気づかれず.34週に大動脈縮窄症を疑われた.35週重複右側大動脈弓による血管輪と診断.出生後 3DCTで診断確定.気管支ファイバー検査で高度の気管軟化症を診断.鎮静筋弛緩下での人工呼吸管理中である.【考案】血管輪はlow risk群850人に 1 人の頻度で存在する頻度の高い疾患との報告もある.胎児エコーでthree vessel trachea viewを活用すればスクリーニングは容易であり,広くスクリーニングが行われることが望まれる.

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