II-E-53
超音波装置によるnormalラットとアドリアマイシン急性心毒性モデルの冠動脈血流評価
秋田大学医学部小児科
島田俊亮,田村真通,岡崎三枝子

【背景】超音波装置の発達によりラットにおけるさまざまな心疾患モデルの心機能評価が可能となったが,冠血流については知見に乏しい.本研究は心エコーによる,正常とアドリアマイシン(ADR)による急性心毒性ラットモデルのcoronary flow velocity(CFV)の描出を試み,両者のcoronary flow velocity reserve(CFVR)を検討した.【方法】週数14週のSDラット30匹を用い,controlラット15匹と,ADR 10mg/kg投与24時間後のADR急性心毒性モデル15匹を比較した.超音波装置はALOKA SSD-6500,7.5MHzのprobeを用いた.ネンブタール麻酔施行後,心電図記録とともに心エコーを施行した.M-mode法を用いて左室拡張末期径(LVEDD),左室収縮末期径(LVESD),左室短縮率(LVSF)を計測した.大動脈短軸像でカラードプラ法により左前下行枝(LAD)血流を描出し,average peak flow velocity(APV),CFVRを測定した.また,アデノシン投与による冠動脈血流変化を測定.アデノシン(0.16mg/kg)を尾静脈から投与し,投与前後のAPV,CFVRの変化について測定し検討した.本研究は「秋田大学動物実験指針」に基づいて施行した.【結果】LVEDD,LVSFはcontorol群とADR投与群で有意な差を認めなかった.APVはcontrol群に比しADR急性心毒性モデルで高値(25.9 ± 3.4cm/sec,31.6 ± 2.3cm/sec,p < 0.01),CFVRはcontrol群に比し低値(2.11 ± 0.19,1.70 ± 1.40,p < 0.01)であった.【結論】ラットにおける冠血流評価は可能であった.ADR急性心毒性モデルにおいてCFVRは低下する.

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