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II-E-60 |
右室流出路再建の工夫―成長を考慮したRastelli型手術の回避― |
京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児心臓血管外科1),京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児内科2)
宮崎隆子1),山岸正明1),春藤啓介1),新川武史1),久岡崇宏1),後藤智行1),井上知也1),山南将志1),浜岡建城2) |
【目的】肺動脈閉鎖症等の肺動脈弁欠損症例に対する右室流出路再建(RVOTR)時においてconduitを用いたRastelli型手術,もしくは後壁に自己組織を用い,前壁に弁付きpatchを用いた再建術が選択されることが多い.しかし,前者では成長の問題点を有し,後者では前壁に有する弁だけでは将来的なPR発生の懸念がある.われわれはMPAが十分に存在する症例では右室とMPA後壁を連続させ,MPA欠損例では自己心膜により後壁を形成している.さらにこのように形成した後壁にbicuspid fan-shaped ePTFE valveを縫着し,前壁にはfan-shaped ePTFE valveを縫着した monocuspid bulging sinus付きePTFE patchを用いて全周性にvalveを有するようにRVOTRを完成している.今回われわれは,弁機能の観点から本法の早期・中期遠隔期成績に検討を加えたので報告する.【対象と手術】2004年10月~2006年1月に,本法による右室流出路再建術を施行した10例を対象とした.手術時年齢は中央値1.9歳(1.5カ月~29.9歳),手術時体重は中央値 9.1kg(3.7~57kg)であった.対象疾患の内訳は肺動脈閉鎖症例 8 例,肺動脈弁欠損症例 2例であった.【結果】中央値7.8カ月(最長15.9カ月)の経過観察期間において,早期死亡,遠隔期死亡および再手術例を認めなかった.術後心エコー検査および心カテーテル検査による評価では,全例PRはmild 以下であった.右室-肺動脈圧較差は中央値15.0mmHg(0~30mmHg)であった.術後心エコー検査,心カテーテル検査,聴診によるvalve click音による総合評価では,全例で弁の可動性は良好であった.【考察】最長16カ月の経過観察期間において,本法の弁機能は良好に維持され,早期,中期,遠隔期成績は満足いくものであった.さらなる経過観察が必要であるが,本法は成長およびPR回避が期待される有用なRVOTR術式であると考える. |
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