II-P-4
体重2.5kg未満での肺動脈絞扼術
東京大学医学部心臓外科
高岡哲弘,村上 新,土肥善郎,益澤明広,浦田雅弘,高本眞一

【はじめに】姑息術である肺動脈絞約術(PAB)は開心術に比べ侵襲が小さく,特に低体重児においては唯一の治療法であることも少なくない.一般的には,Truslerの式にしたがってPABを行うが,低体重児においては必ずしも適切ではない.【目的】体重2.5kg未満の症例について至適バンディングサイズを検討した.【対象】最近 5 年間に当科で施行したPAB症例のうち体重2.5kg未満の22例.最終的に 2 心室修復を目指す症例が17例(B群),Fontan手術を目指す症例が 5 例(F群)であった.【方法】全例胸骨正中切開で開胸し,肺動脈圧(PAP)とSpO2をモニターしながら幅2.5mmのPTFEテープ(Gore Tex graftを縦に裂いたもの)を用いてPABを施行した.PAB後のSpO2〔%〕75~85,PAP(収縮期)30mmHg以下,肺体血圧比(Pp/Ps)0.4以下を大体の目安とした.【結果】体重(kg):B群 2.1 ± 0.2 vs. F群 2.2 ± 0.2,絞約径(mm):B群BW +(18.0 ± 1.5)vs. F群BW +(17.2 ± 1.3),Pp/Ps:B群 0.4 ± 0.17 vs. F群 0.3 ± 0.06,SpO2:B群 88 ± 7.8 vs. F群 84.5 ± 1.6でいずれも有意差はなかった.【考察と結語】体重2.5kg未満の症例に対するPABでは,2 心室修復とFontan手術のいずれを目指すかにかかわらずTruslerの基準よりきつい絞約が必要であった.2 心室修復ではBW + 18(mm),Fontan手術ではBW + 17(mm)が至適サイズに近いと考えられた.

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