II-P-6
遠位大動脈弓低形成例に対する治療の検討
長野県立こども病院心臓血管外科1),長野県立こども病院循環器科2)
阿知和郁也1),原田順和1),打田俊司1),内藤祐次1),岡本祐樹1),里見元義2),安河内聰2),松井彦郎2),長谷山圭司2),西澤 崇2),金子幸栄2)

【目的】近年大動脈縮窄(CoA)・大動脈弓離断(IAA)に対する手術成績は著しく向上してきている.しかし,遠位大動脈弓低形成を伴う場合の術式の選択は議論の分かれるところである.最近,subclavian flap aortoplasty(SFA),ASO後13年目に遠位大動脈弓狭窄を来した 1 例を経験したので,遠位大動脈弓低形成を伴った症例の成績を後方視的に検討した.【対象と方法】1991~2004年に当院および関連の施設で,遠位大動脈弓低形成〔遠位大動脈弓径(mm) ≦ 体重(kg)〕を伴ったCoAまたはIAAに対し手術を行った15例.初回手術時の日齢は50 ± 46(3~155)日,体重は3.4 ± 0.7(2.5~4.9)kgであり,診断はCoA complex 12,IAA complex 3 であった.術式はSFA 9,extended aortic arch anastomosis(EAAA:正中切開)3,その他(主肺動脈-大動脈弓直接吻合 2,swing back maneuvour 1)3 であり,それぞれの術後の大動脈弓再狭窄(re-CoA)に関して検討した.【結果】re-CoAは 2 例(13.3%)に認められ,それぞれPTA,遠位弓部置換術を施行した.術式別ではSFA 1(11.1%),EAAA 0(0%),その他 1(33.3%)であった.【結語】術式によるre-CoAの発生頻度に有意な差は認められず,多くの症例で低形成部が成長した可能性が示唆された.しかし,成長の認められなかった症例もあり,今後症例数を重ねてさらに検討を行う必要があると思われる.

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