II-P-15
気管支狭窄を伴う先天性心疾患患児の外科的介入
社会保険中京病院心臓血管外科1),社会保険中京病院小児循環器科2)
杉浦純也1),櫻井 一1),阿部知伸1),加藤紀之1),澤木完成1),櫻井寛久1),松島正氣2),大橋直樹2),西川 浩2),久保田勤也2)

【はじめに】気管支狭窄を伴う先天性心疾患患児 3 例について,その原因と経過・外科的介入につき検討した.【症例】うち 2 例を報告する.〈症例 1〉大動脈離断,心室中隔欠損,動脈管開存(PDA),右側大動脈弓の女児.生後 9 日目に両側肺動脈絞扼術を施行.右気管支狭窄に伴う右肺過膨張,左肺低形成があり,抜管困難であった.3 カ月時にVan Praagh,PDA吊り上げ術を行い,右主気管支の圧排はやや改善された.5 カ月時に 1 度抜管.その後肺出血を認め,6 カ月時に再挿管.気管支ファイバーで右気管支が背側より拍動性の圧迫を受けており,12カ月時に大動脈吊り上げ術,PDA切断を施行.ファイバーで内腔の拡大を確認した.13カ月時に人工血管再置換術施行.15カ月時に根治術としてYasui手術変法,主肺動脈離断,Rastelli手術を施行.16カ月時現在weaning施行中である.〈症例 2〉左心低形成症候群の男児.生後 3 日目に両側肺動脈絞扼術を施行.high flowのため,16日目に再度絞扼術を施行.2 カ月時にNorwood手術(RV-PA conduit使用)を施行.その後抜管困難あり,胸部 3D-CTで左気管支狭窄認め,下行大動脈からの圧迫が疑われた.3 カ月時に下行大動脈吊り上げ術を施行.左気管支狭窄は軽快したものの残存し抜管できなかった.4 カ月時,心カテでconduit平均圧32mmHgにてbidirectional Glenn手術を施行.その後も離脱困難の状態は続いている.【考察】先天性心疾患の術後患者で気管支狭窄を合併する病態として,(1)体血流がPDAに依存している場合のPDAによる圧排,(2)大動脈縮窄・大動脈離断・HLHS等でarch再建を行った場合,(3)高肺血流状態での肺動脈による圧排,(4)先天性気管支狭窄等が挙げられる.症例 1 は(1)が原因,症例 2 は(2)が原因と考えられた.PDA吊り上げ術や大動脈吊り上げ術を行うことで狭窄の改善は得られたが,依然として呼吸器離脱困難が続いており,気管支狭窄が術後呼吸器管理を困難にする大きな要因になるものと考えられた.

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