II-P-17
乳児気管切開術後の開心術症例の検討
愛媛県立中央病院心臓血管外科
日比野成俊,長嶋光樹,佐藤晴瑞,堀 隆樹,石戸谷浩,清家愛幹,富野哲夫

【背景】近年,複合疾患を持つ症例に対する開心術が増加しているが,特に重症の呼吸器合併症を持つ症例では,開心術の前に気管切開術を必要とする.気管切開術後の開心術症例について検討する.【症例 1】41週,2,525gで出生,生後より呼吸不全認め,当院へ紹介され入院.VSD,PH,末梢性肺動脈狭窄,7q-症候群の診断となり,上気道狭窄による呼吸障害が強いため,6 カ月時に気管切開術を施行後,VSD閉鎖術を施行した.気管切開部からの感染防止のため,皮膚小切開,胸骨第 2 肋間でのT字切開にて手術を行った.【症例 2】40週,2,680gで出生,呼吸不全のため,当院へ紹介され入院.Ebstein奇形,三尖弁狭窄症,VSD,PH,WPW症候群の診断となり,1 カ月時にPDA ligation + PA banding施行.3 カ月時にカテーテルアブレーションを行うも不成功.上気道狭窄による呼吸障害が強いため,6 カ月時に気管切開術を施行.1 歳 4 カ月時にbidirectional Glenn + surgical ablationを施行した.皮膚小切開,胸骨第 2 肋間でのT時切開を行ったが,十分な視野が得られなかったので,full sternotomyとした.両症例とも,術後経過良好にて退院した.症例 1 では,術後も呼吸不全が悪化し,現在在宅での人工呼吸管理を必要としている.【結語】気管切開を施行された症例に対する,皮膚小切開,胸骨部分切開による開胸は,術後感染を予防するための有用な手段の一つであると考えられた.

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