II-P-18
Willams症候群に伴う弁上部大動脈狭窄に対するDoty手術例
東邦大学医学部外科学講座(大森)心臓血管外科1),東邦大学医学部第一小児科2),横浜市立大学医学部第一外科3)
小澤 司1),塩野則次1),藤井毅郎1),横室浩樹1),渡邉善則1),吉原克則1),小山信彌1),中山智孝2),松裏裕行2),佐地 勉2),高梨吉則3)

今回,Williams症候群に伴う弁上部大動脈狭窄(以下SVAS)と診断された 2 例(2005年 7~12月)に対して,Doty手術を施行したので報告する.【症例 1】13歳女児.2 歳時に心臓カテーテル検査を施行.Williams症候群に伴うPSと診断され,RVOTR,PA plastyを施行.以後問題なく経過したが,最近,胸痛,易疲労感が出現した.術前心臓超音波にてSVAS,左室-大動脈圧較差70mmHg以上,心臓カテーテルにて砂時計型のSVASを呈し,圧較差は約80mmHg.Doty手術を施行した.術後心臓超音波にて左室-大動脈圧較差は15mmHg,13日目で軽快退院.【症例 2】17歳男児.他院にてWilliams症候群と診断され,当院紹介受診.最近,運動時に座り込む動作があり,心臓超音波にてSVAS,左室-大動脈圧較差は約50mmHg.精神遅滞が認められ,鎮静下にて心臓カテーテルを施行.SVASの圧較差は33mmHg,最狭窄部は 8mm,上行大動脈末梢側は23mm.また入院前検査にてPT,aPTTの延長が認められ,type Iのvon Willebrand病と診断された.小児科バックアップのもとDoty手術を施行.止血にやや難渋したが,コンファクトFを投与し止血し得た.術後もaPTT値が40秒以内に維持されるように術後 3 日目までコンファクトFを投与し,14日目に軽快退院.外来での心臓超音波では左室-大動脈圧較差は 3mmHg未満で順調に経過している.【考察・まとめ】症例 1 は,Williams症候群に伴う特徴的な心血管病変の一つであるPSに対してもすでに再建術が施行された再手術例であり,症例 2 はvon Willebrand病を合併したまれな症例であった.以上,Williams症候群に伴う弁上部大動脈狭窄の 2 例に対して,two sinus reconstruction,すなわちDoty法を施行し良好な結果を得たので,文献的考察を加え報告させていただく.

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