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Shone complex―大動脈縮窄術後のパラシュート僧帽弁による僧帽弁狭窄の予後―
旭川厚生病院小児科1),旭川医科大学小児科2),旭川医科大学第一外科3)
梶野真弓1),白井 勝1),更科岳大1),杉本昌也2),真鍋博美2),津田尚也2),梶野浩樹2),郷 一知3)

【はじめに】Shone complexは僧帽弁狭窄に他の左心系狭窄病変を合併するまれな疾患群であり,予後は決して良好とはいえない.今回われわれは大動脈縮窄(CoA),心房中隔欠損(ASD),動脈管開存(PDA)にパラシュート僧帽弁(PMV)を合併し,新生児期のCoAに対する手術後,僧帽弁狭窄(MS)が予後に影響したと考えられる本症の 2 例を経験したので報告する.【症例 1】日齢 0 の女児.ASD,hypoplastic arch,CoA,PDA(R-L優位),PHおよびPMVを認めShone complexと診断した.MSを形態上認めたが左室流入血流速度は1.3m/sであった.日齢 8 に旭川医科大学に転院し,同日CoA repair(EAAA)を施行した.11歳時にMSとMRの進行を疑い心カテを施行,ASD閉鎖とMSRによるPH(Pp/Ps 0.44,PAWp 19mmHg)を認めたため,僧帽弁置換術を施行した.【症例 2】日齢 3 の女児.ASD,VSD,AS,hypoplastic arch,CoA,PDA(R-L優位),PHおよびPMVを認めShone complexと診断.MSを形態上認めたが左室流入血流速度は1.2m/sであった.手術目的に旭川医科大学に転院し,日齢12にEAAAを施行.PA bandingは不要と考えた.術後左室流入血流速度は1.1m/sであったが,ASDで最大血流速度1.5m/sの連続性左右短絡を,また大動脈弁およびCoA部で血流速度2.5m/sの狭窄を認めた.術後12日目に治療抵抗性の低血圧のため死亡.ASDと左心系に残存する狭窄性病変が心拍出量低下の原因と考えられた.【まとめ】Shone complexにおいて短絡がある場合は左心系の狭窄性病変の重症度がマスクされる.CoAは新生児期に修復せざるを得ないとしても,残存するMSが肺静脈性肺高血圧や心拍出量低下を招来し予後を左右する.

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