II-P-29
人工呼吸器装着中の窒素による低酸素療法
東京女子医科大学循環器小児科
石井徹子,山村英司,中西敏雄,中澤 誠

【背景,目的】肺血流量をコントロールする目的で窒素を用いた低酸素換気療法の有用性の報告は多くあり,標準的な治療になりつつある.窒素を用いる方法は施設によりさまざまで人工呼吸器との併用もなされている.窒素の投与量は尿量や血圧,動脈血酸素分圧をみながら決定されるが,その際にどの程度の酸素濃度で児が換気されているかの報告はない.呼吸器使用患者で窒素を用いた場合に,呼吸器設定条件による吸気中の酸素濃度の変化を調べる.【方法】呼吸器はBearCubおよびBearCub750vsを用いた.吸気回路内で窒素ボンベから一定の流量で窒素を混合させ,窒素流量,持続陽圧喚起圧,呼吸器内空気流量を変化させその時の吸気酸素濃度を調べた.また強制換気時の吸気内酸素濃度を調べた.窒素は加湿器より患者側に取り付けた.吸気酸素濃度は吸気回路の最も患者側に酸素濃度計を取り付け計測した.【結果】(1)PEEP 0mmHgの場合,空気と窒素の流量から予想された酸素濃度に比較し吸気中の酸素濃度は高かった.(2)PEEP 3mmHgにした場合はPEEP 0mmHgの場合に比較しさらに吸気中の酸素濃度は高かった.(3)酸素と窒素の流量を一定にしPEEP圧を変化させた場合,PEEP圧が高いほど酸素濃度は上昇した.4 強制換気を行ったところ呼吸サイクルに合わせて酸素濃度の変化が認められた.BearCub750vsでは定常流に加え強制換気時の流量が設定できる.このため定常流10l/分に対し,強制換気時の流量を10,15,20l/分と変化させたが吸気酸素濃度には大きな変化はみられなかった.【結語】空気と窒素の流量から計算上予想される酸素濃度より,高濃度で低酸素喚起療法は行われていた.呼吸器の条件によっては予想されるより低酸素療法が十分に行われていない可能性があり,これらの結果を踏まえた管理が必要である.

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