II-P-30
人工呼吸器使用例での低酸素換気療法の注意点 2
東京女子医科大学循環器小児科
山村英司,石井徹子,工藤恵道,藤田修平,西田純子,中西敏雄,中澤 誠

【目的】肺血流量をコントロールする目的で窒素を用いた低酸素換気療法の有用性の報告は多く,標準的な治療になりつつある.しかし,窒素を混入する方法は施設によりさまざまであり,人工呼吸器を用いた投与法は一定ではない.人工呼吸器を用いた低酸素換気療法の問題点,特に投与酸素濃度に関して検討した.【方法】人工呼吸器(IMI,BEAR cub 2000ならびにBEAR cub 750psv)を用いて,回路への接続部位による温度ならびに湿度と酸素濃度への影響を検討した.人工呼吸器回路に窒素(99.9%以上)をアダプタを接続して投与した.加湿器の前と後で口元での温度ならびに湿度の変化を調べ,酸素分圧に対する影響を理論値と比較検討した.【成績】BEAR cub 2000で定常流10l/分に対して加湿器の後に窒素 0~10l/分を混合させた場合の湿度変化はほぼ100%で変わらず,それによる酸素の濃度の変化は無視できるものであった.一方,口元での温度は 0~10l/分で 1~2 度低下した.温度変化による吸気酸素濃度の変化は 1mmHgであった.BEAR cub 750psvでは吸気側回路内で窒素を混合しベースフロー10l/分でIMV 10回/分,吸気時間0.6秒,吸気圧15cmH2Oで換気した.PEEPを 0,3,5 と変動させると口元温度は 5~2.5℃変動した.これによる酸素分圧の変動は約 2mmHgであった.吸気流量を 0,10,20l/分とすると約 3℃低下した.これによる酸素分圧の変動は約 2mmHgであった.【結論】温度低下は起こるが,吸入酸素分圧への影響は無視し得る.

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