II-P-31
新生児高肺血流心疾患に対する窒素投与法についての検討
和歌山県立医科大学小児科
渋田昌一,奥谷貴弘,武内 崇,南 孝臣,鈴木啓之,吉川徳茂

近年,左心低形成症候群などの新生児高肺血流心疾患の術前管理に,窒素混合低酸素換気療法が有効で,広く行われている.その投与方法は,挿管人工換気下に人工呼吸器の回路中に純窒素を別回路で側方より混合する投与方法が一般的であるが,われわれは,最近経験した窒素投与症例 2 例に対して,それぞれ異なる投与方法で管理し,いずれも良好に管理できたので報告する.【症例 1】39週 2 日,3,135gで出生.診断はTGA (I) CoA hypoplastic Ao arch PDA Ts small RV small VSD PFO.日齢 1 で当院に搬送され,lipo-PGE1の投与を開始.日齢 7 で,肺血流増加,心拡大が進行したためN2 投与を鼻カニューラで開始.カニューラの鼻腔に挿入する突起を一側だけ切除して用いると固定がよく,N2 の投与量は,SpO2をみながら150~500ml/minの流量で比較的安定して管理可能で,日齢10で手術となるまで母親により経口で授乳可能であった.【症例 2】37週 2 日,1,550gで出生.診断はMA AAのHLHS.日齢 1 で当院に搬送され,lipo-PGE1の投与を開始.日齢 4 で肺血流増加,心拡大が進行したためN2 投与を開始.無呼吸発作があるためNCPAP(経鼻持続陽圧呼吸)を使用していたが,回路中に側方より別回路で窒素を投与するように工夫したところ,安定して管理することができた.日齢 8 で両側肺動脈絞扼術を行い,術後抜管後も数日間同様の方法で投与した.術直前まで経管栄養,家族による抱っこが可能であった.そのほかの投与法と比較検討し報告する.【まとめ】鼻カニューラ,NCPAPは術前管理において母子の接触も可能であり有用である.

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