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肺高血圧と多発性末梢性肺動脈狭窄を伴ったunifocalization術後症例に対するカテーテル治療―肺血流シンチと圧センサーガイドワイヤーが有用であった 1 例―
埼玉医科大学小児心臓科1),埼玉医科大学心臓血管外科2)
小林俊樹1),先崎秀明1),松永 保1),竹田津未生1),石戸博隆1),岩本洋一1),熊倉理恵1),加藤木利行2),朝野晴彦2),枡岡 歩2)

【目的】近年,主肺動脈が欠損や低形成と主要体肺動脈側副血行路(MAPCA)を合併しunifocalization(UF)を行った症例が増加してきている.肺高血圧の症例がおり,肺血管床の問題とUF後の吻合部狭窄が混在していることがある.肺血流シンチと心臓カテーテル検査時に圧センサーガイドワイヤーを併用し,血流低下および血圧の低い肺動脈枝を鑑別して選択的に拡大した.これにより肺動脈圧低下を得た症例を経験したので報告する.【症例および方法】13歳,肺動脈閉鎖,MAPCAの心内修復遠隔期に主肺動脈/体血圧比(PP/PS)は1.0まで上昇しており,治療目的にて紹介された.前医の肺動脈造影にてUFによると考えられる多発性末梢性肺動脈狭窄(PPS)の合併が疑われたために,肺血流シンチにて血流低下部位を同定した.心臓カテーテル検査時に圧センサーガイドワイヤーにて肺血流シンチと一致した部位の低圧肺動脈を探し出し,狭窄部に対してcutting balloonおよびstandard balloonにて拡大を行った.術直後のPP/PSは0.8まで低下した.4 カ月後の肺血流シンチにて血流低下の著しかった左下肺野の血流は著しく増加しており,エコーによる推定PP/PSは0.6~0.7まで低下を示していた.【考察および結語】肺高血圧と吻合部狭窄が混在するUF術後症例で,肺血流シンチにより肺血流分布が低下し,なおかつ肺動脈圧の低い分枝を同定して選択的な拡大を行うことによりPP/PSの改善を得た.血管造影上の形態と肺血流分布は必ずしも一致しておらず,従来の方法ではPP/PSの低下は得られなかったと考えられた.cutting balloonは術後遠隔期の末梢肺動脈の拡大には有用であったが,年長児では 3mm近い長さがある0.018ガイドワイヤーが必要となるなど,特殊な準備が必要であった.

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