II-P-39
成人チアノーゼ型先天性心疾患のチアノーゼ改善を目的としたカテーテル治療
久留米大学医学部小児科1),久留米大学循環器病センター2),天理よろづ相談所病院小児科3)
籠手田雄介1),須田憲治1),岸本慎太郎1),工藤嘉公1),伊藤晋一1),石井治佳1),家村素史2),松村正彦3),松石豊次郎1)

【背景】心内修復術の適応を満たさないチアノーゼ型複雑心奇形の患者では,年齢とともに肺動脈やシャント血管に狭窄を来し,チアノーゼが進行することが少なくない.【目的】成人の複雑心奇形患者の,チアノーゼの進行に対するカテーテル治療の有効性を検討する.【方法】対象は,チアノーゼの進行を主訴に受診した18歳以上の複雑心奇形(PA 5 例,TS 1 例,TA 1 例)の患者 7 例(男 4,女 3).年齢中央値:29歳(20~34歳).SpO2中央値71%(46~83%),Ht中央値65%(44~73%).全例,肺動脈狭窄あるいは閉鎖を有し,シャント手術を中央値 2 回(1~3 回)施行されていた.既存血管に対するPTA,ステント,肺動脈弁狭窄に対するBPVを肺血流増加の方法とした.【結果】7 例中 5 例(71%)で,SpO2は中央値81%(+10%)へと上昇し,自覚症状の改善を認めた.一方,過肺血流による心不全徴候は認めなかった.SpO2の改善した 5 例の内訳は,動脈管にステントを留置:1 例,動脈管 + AP shuntにそれぞれステント留置:1 例,AP shuntにステント留置 + MAPCAのPTA:1 例,modified BT shunt,classic BT shunt,AP shuntの 3 本の血管にPTA:1 例,肺動脈弁狭窄に対してBPV:1 例,であった.SpO2の改善しなかった 1 例は,ステント導入前の症例であり,PTAのみでAP shunt中央部の狭窄の改善を得られず,再シャント手術を施行した.もう 1 例はシャント血管のPTAのみで拡張を得られずSpO2の改善得られなかった.【結論】チアノーゼ型先天性心疾患の成人患者において,チアノーゼ改善を目的としたカテーテル治療は,外科治療の代替として,有効で安全な治療であり得る.

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