II-P-40
心臓カテーテル検査の新たな動向―当科における試み―
長崎大学医学部歯学部附属病院小児科
山本浩一,本村秀樹,森内浩幸

【背景】心臓カテーテル検査(以下心カテ)は,小児循環器疾患の最終診断のために以前から重要な検査であった.しかし近年のエコー,CTなど非侵襲的検査の進歩とともにその役割,重要性も変わりつつある.心カテ検査を診断方法として今後も活用していくためには安全性,低侵襲性および入院期間の短縮等の課題は避けて通ることができない.これらを背景に当科では2004年以来,年長者に対して上腕動脈等大腿部以外の穿刺による心カテおよび低年齢者,高リスク者に対して麻酔科医の管理による全身麻酔下の心カテを施行しており今回その成績を検討した.【対象】2004年以降当科で上腕動脈穿刺心カテ施行例 7 例(男 2 例,女 5 例),年齢19.5 ± 4.5歳で,同時期に施行した10歳以上の大腿動脈穿刺心カテ施行例を対象群として比較検討した.また全身麻酔下の心カテ施行例 7 例(男 2 例,女 5 例),年齢4.2 ± 2.5歳ではその施行理由,麻酔内容について検討した.【結果】上腕動脈穿刺心カテ群は,検査所要時間に有意な変化はなく,床上安静時間は著しく短縮できた.その結果患者,医療両者とも満足できるものであった.また全身麻酔下の心カテは,呼吸器疾患合併例など全身管理に注意を要する例および気管支ファイバー,経食道心エコーなど侵襲的検査併用例に行われ安全に施行された.【結語】上腕動脈穿刺による心カテは,十分な穿刺血管径がある症例ではほぼ安全で術後の安静が楽であり,優れた検査法であると考えられた.また全身麻酔下検査法は安定した状態の検査と緊急時対応が迅速に可能である点から利点が多いと考えられた.今後も他の非侵襲的検査と組み合わせながら,心カテの低侵襲でかつ安全な施行に心がけていきたいと思う.

閉じる