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バルーン肺動脈弁形成術(BVP)に引き続きRV overhaulを施行し 2 心室根治が可能であった低形成右室を伴うPA/IVSの 1 例
福井愛育病院小児科1),京都府立医科大学附属小児疾患研究施設小児心臓血管外科2),福井循環器病院小児科3)
倉田香織1),山岸正明2),春藤啓介2),西田公一1),石原靖紀1),平野聡子1),松田義和1),石原義紀1),問山健太郎3)

【はじめに】純型肺動脈閉鎖(PA/IVS)では低形成右室を合併する場合one and a half修復,もしくはFontan手術が選択されることが多い.われわれは右室低形成を伴うPA/IVSの症例に対しバルーン肺動脈弁形成術(BVP)を施行し引き続いてRV overhaulによる 2 心室修復が成功した例を経験したため報告する.【症例】在胎39週,2,830gで出生.出生翌日よりチアノーゼを認め当科へ搬送となった.心エコーにて純型肺動脈閉鎖と診断.来院時ショック状態であったため気管内挿管およびCPRを施行しlipo-PGE1にて血行動態の安定が得られた.(1)BVP:肺動脈弁は膜様閉鎖で弁輪径5.3mm(67%N),三尖弁輪径は12.7mm(103%N;Z-value + 0.5)であった.右室構造はtripartiteであり類洞交通を合併していた.日齢 6 でBVPを施行.前の右室造影による右室拡張末期容量は53.7%Nと低容量であった.Tyshak 4~6mmにて拡張し右室圧は術前の116mmHgから40mmHgに低下した.術後lipo-PGE1からの離脱を試みるもSpO2の低下のためPGE1に変更し再開.日齢23で再度BVPを試みたが右室流出路にカテーテル挿入できず断念した.(2)手術:日齢54で手術施行.術中計測で三尖弁輪径 > 100%N,肺動脈弁92%Nが確認された.右室流出路を縦切開し右室肥厚心筋を切除(RV overhaul)し肺動脈弁交連切開術を施行.心房中隔欠損は 3mm径を残して半閉鎖した.術後心房間の右左シャントはみられず,経過良好で術後27日で退院した.【結語】本症例ではBVPは成功したものの十分な順行性lowが得られずlipo-PGE1からの離脱ができなかった.三尖弁輪径が十分であったため右室低容量にもかかわらずRV overhaulにより 2 心室根治可能であった.

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