II-P-48
先天性心疾患に伴う肺高血圧に対してbosentanを投与した 2 幼児例
筑波大学附属病院小児科1),筑波大学附属病院心臓血管外科2),日本肺血管研究所3)
宮田大揮1),堀米仁志1),高橋実穂1),村上 卓1),岩崎陽子1),室伏 航1),平松祐司1)2),野間美緒2),八巻重雄3),松井 陽1)

先天性心疾患に伴う肺高血圧(PH)の小児例に対してepoprostenol(PGI2),sildenafil,bosentanなどさまざまな薬剤が試みられているが,乳幼児に対する経験は少ない.両大血管右室起始症根治術後PHおよび未手術心室中隔欠損症に伴うPHの 2 幼児に対し,bosentan投与を行った.【症例 1】生後11カ月時に心雑音を指摘され,両大血管右室起始症(大動脈弁下VSD),PHと診断された.心カテーテルではPAP 90/35(60)mmHg,Rp 7.9 Wood Um2,Qp/Qs 1.3であった.根治術後もPH〔PAP 75/0(34)mmHg〕が残存し,beraprost等の内服治療を行った.術後 1 年で心不全を発症した(BNP > 2,000 pg/dl).PGI2持続静注の効果は不十分で,7 カ月後からsildenafilを併用した.PHの有意な低下はなかったが,活動性の向上,歩行距離の延長を認めた.10カ月後にはPGI2持続静注から離脱できた.その後,肺炎を契機にPH,心不全の悪化したため,bosentanを開始したところ心不全が改善し(BNP 560)退院した.【症例 2】他県でVSD,PSと診断されフォローされていた.転居に伴い当院を受診し,8 カ月時の心カテーテルにてPAP 80/42(57)mmHg,Rp 12.8 Wood Um2,Qp/Qs 0.82.肺生検では肺小動脈内膜の線維性肥厚が高度で(IPVD 2.4,HE 6 度),手術適応なしと診断された.beraprostを開始したが,1 年後の心カテーテルでもPHの改善はなかった.3 歳時よりbosentanを開始し,現在その効果判定の心カテーテルを予定している.【結語】先天性心疾患に伴うPHの幼児に対してもbosentanは副作用なく投与できた.PHの低下は軽度でも,活動性の向上や心不全の軽減が認められることがある.

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