II-P-57
34年間にわたり高肺血流肺高血圧を伴った心室中隔欠損症を合併したが心内修復術の適応があった21トリソミーの 1 例
聖マリアンナ医科大学小児科学1),聖マリアンナ医科大学心臓血管外科学2)
有馬正貴1),水野将徳1),都築慶光1),後藤建次郎1),麻生健太郎1),栗原八千代1),村野浩太郎1),近田正英2),幕内晴朗2)

症例は34歳女性.生後まもなく21トリソミー,心室中隔欠損症(VSD)と診断されたが手術は行われず,他院小児科において定期的に外来フォローされていた.34歳時に当院へ紹介されたが,チアノーゼは認められず,胸骨左縁三尖弁領域においてLevine 3/6 の収縮期雑音を聴取した.胸部X線検査ではCTR 62%であり,両側肺野において肺血管陰影の増強が著しかったが血管陰影は末梢まで確認することができた.心エコー検査では大きなVSD perimembranous defectと細い動脈管開存(PDA)を確認し,VSDは左右短絡で短絡量は多かった.血液検査でも多血症,高尿酸血症は認められなかった.心内修復術(ICR)の可能性が残っていると考えられ,心臓カテーテル検査を施行した.結果はPp/Ps 1.0であるが,Qp/Qs 4.5,左右短絡率79%,Rp 0.60m2であり,ICRの適応があると考えられた.後日,肺動脈絞扼術と肺生検を施行した.肺生検の結果はIPVD 1.3,HE 3 度であり,ICRの適応であった.今後ICRが予定されているが,21トリソミーに合併したhigh flow PHを有するVSDではおそらく最高齢の手術適応である.なぜEisenmenger化しなかったのか,文献的検討とわれわれの考察を併せて報告する.

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