II-P-58
成人動脈管開存の形態評価におけるMDCTの有用性について
島根大学医学部小児科1),どれみクリニック小児科小児循環器科2),国立病院機構函館病院小児科3),関西医科大学附属枚方病院小児科4)
安田謙二1),林 丈二1),羽根田紀幸2),野木俊二3,4)

【はじめに】成人の動脈管開存はカテーテル治療の適応となることが多い.しかし経胸壁心エコーではその形態評価が困難なことが多い.今回術前にMDCTを用い,明瞭な形態評価が可能であった症例を経験したので報告する.【症例】〈症例 1〉73歳女性.既往歴:20歳代より甲状腺機能亢進症,50歳代より高血圧症で近医で加療.経過:5~6 年前より心雑音を指摘され,近医でPDAと診断された.入院 3 カ月前より労作時に息切れを感じるようになり,PDAに対する精査,加療目的で紹介入院.入院時CTR 58%,心電図異常なし,BNP 189.9.胸骨左縁第 2 肋間にLevine 2/6 の連続性雑音を聴取.MDCTにてPDA(Krichenko分類のA,細小径3.6mm,石灰化あり)を確認.PA,Ao両側からコイル塞栓術施行(MWCE-52-10-8:2 個,IMWCE-5-PDA5:1 個),術後 6 日に完全閉鎖を確認,術後BNP 55に改善.〈症例 2〉50歳女性.経過:20歳の頃より心雑音を指摘されていたが放置.入院 3 カ月前頃より動悸,息切れを感じるようになり,函館新都市病院循環器科初診.初診時CTR 53%,心電図異常なし.胸骨左縁第 3 肋間にLevine 2/6 の連続性雑音を聴取.MDCTにてPDA(Krichenko分類のC,細小径2.5mm程度)と診断.Aoからコイル塞栓術(IMWCE-6.5-PDA5,IMWCE-5-PDA5:各 1 個)施行,翌日に完全閉鎖を確認.【まとめ】MDCTは成人動脈管開存の治療前の形態評価に大変有用であった.【謝辞】症例をご提供いただきました島根大学医学部循環器内科,落合康一先生,函館新都市病院循環器内科,佐藤正敏先生に深謝します.

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