II-P-60
新生児および乳児における大動脈径および肺動脈径の標準化
岐阜県立岐阜病院新生児センター1),岐阜県立岐阜病院小児循環器科2)
長澤宏幸1),桑原尚志2)

【目的】心臓各部位の正常値を求める場合通常体表面積を用いることが多い.しかしこの方法では計算がやや煩雑となり,また直感的に正常値を求めることは困難である.われわれは心エコー図を用いて左室拡張末期径(LVDd)が身長と直線関係になり,これを用いることで容易にLVDdを計算しうることを示してきた.しかし,心臓の他の部位における身長と関係は報告が少ない.今回,身長75cm以下の児において身長を指標に大動脈径および肺動脈径との関係を検討した.【対象】先天性心疾患,先天奇形および重篤な慢性肺疾患を認めない新生児および乳児154例(男児79例,女児75例)で,在胎週数は24~41週〔33.1 ± 5.3週(平均 ± 標準偏差)以下同様〕,測定時身長:31.9~75.0cm(48.5 ± 9.0cm),測定時体重:623g~9.4kg(2.97 ± 2.04kg),測定時年齢:9 日~1.0歳(平均0.18 ± 0.21歳)であった.【方法】Hewlett-Packard社製Sonos 2500を用い,7.5MHz の探触子を使用した.胸骨左縁において拡張末期で測定.いずれも安定して測定できた3~5心拍の平均値を用いた.【結果】(1)身長(X:cm)と大動脈径(Ya:mm)との関係は,Ya = 0.173*X - 0.9(r = 0.93,p < 0.0001),(2)身長(X:cm)と肺動脈径(Yp:mm)との関係は,Yp = 0.190*X - 1.9(r = 0.91,p < 0.0001)となった.【結論】(1)身長と大動脈径および肺動脈径とは直線関係が成り立つことが認められた.(2)この式を用いることで正常児の大動脈径および肺動脈径の標準値を容易に求めることができる.

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