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III-PD-5 |
思春期肥満に伴う高血圧,安静時頻脈はメタボリック症候群の表れである |
愛知県医師会学校保健部会心臓健診委員会1),愛知医科大学小児科2),あいち小児保健医療総合センター循環器科3),名古屋市立緑市民病院小児科4),名古屋市立大学小児科5)
馬場礼三1,2),長嶋正實1,3),安田東始哲1,3),加藤敏行1,4),水野寛太郎1,5),纐纈雅明1),稲坂 博1) |
【背景】肥満には糖代謝異常や脂質代謝異常などのほか,高血圧や安静時頻脈(いずれも動脈硬化性疾患の危険因子)などの血行動態上の異常を伴うことが知られている.これらの血行動態上の異常はまた,独立した動脈硬化性心疾患の危険因子でもある.しかし,思春期肥満において肥満の程度がこれらの血行動態上の異常とどの程度関連しているかは知られていない.【目的】思春期の子どもたちにおいて,肥満,高血圧,安静時頻脈がどの程度で集積するかを検討した.【方法と結果】A県立高校 1 年生男子20,165名,女子19,683名において身長,体重,安静時心拍数,収縮期および拡張期血圧を測定した.肥満の程度はbody mass index(BMI)により,非肥満(85パーセンタイル未満),体重過(85~94.9パーセンタイル),肥満(95~98.9パーセンタイル),高度肥満y(99パーセンタイル以上)に分類した.安静時頻脈と収縮期および拡張期高血圧は95パーセンタイル以上により定義した.安静時心拍数,収縮期血圧および拡張期血圧は男女ともに肥満の程度が増加するにしたがって増加した(p < 0.0001).収縮期高血圧,拡張期高血圧はともに安静時頻脈と同時に生じやすく,これらの血行動態異常は肥満の程度が増加するにしたがってより強く集積する傾向が認められた.例えば高度肥満者において,頻脈と収縮期高血圧が集積する程度(observed/expected ratio:O/E比)は男子で31.5(p < 0.0001),女子で54.6(p < 0.0001)であった.【結語】思春期の子どもたちにおいて高血圧や安静時頻脈などの血行動態異常は肥満と密接に関係している.したがって,思春期小児の肥満に伴うこれらの血行動態異常はメタボリック症候群の一環としてとらえるべきであり,小児期の肥満発症を予防することは成人後の成人病予防上重要と考えられる. |
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