III-D-3
2D speckle tracking imaging(2DSTI)による小児正常左心室の局所壁運動解析
横浜市立大学附属病院小児循環器科1),横浜市立大学附属病院心臓血管外科2)
瀧聞浄宏1),岩本眞理1),赤池 徹1),鉾碕竜範1),志水 直1),高梨吉則2),寺田正次2),磯松幸尚2),町田大輔2),山中隆司2)

2D speckle tracking image(2DSTI)による小児正常左室の局所壁運動解析.【目的】2D speckle tracking image(2DSTI)により,小児正常左室の局所壁運動解析を行い,その収縮様式を検討すること.【方法】正常左室の 9 例(日齢 3~10歳,平均2.7歳)を対象とした.心エコー装置は,Vivid 7 Dimension(GE社製)を使用した.心尖部,乳頭筋,心基部レベルの短軸断面と四腔断面の 2D画像を取り込み,EchoPac Dimensionで心室壁の回転運動および 3 方向のストレイン値を測定した.心基部と心尖部の短軸断面から時間 - 回転曲線を求め,心室の最大ねじれ運動(V,deg)は,その差分から算出した.さらに,乳頭筋レベル短軸断面の 6 segmentの平均値から円周方向のピークストレイン(SC,%)を求め,同様に四腔断面の 6 segmentの平均値から長軸方向のピークストレイン(SL,%)を求めた.乳頭筋レベル短軸断面の前中隔および後壁における短軸方向のピークストレインをASR,PSR(%)とした.【成績】心室のねじれ運動は,心尖部から見て,心基部では収縮初期に反時計方向に回転し,収縮期後期に時計方向に回転した.心尖部では,収縮期中期から後期に向かって,反時計方向に回転した.時間 - 回転曲線の差分であるVTは,反時計方向に6.4 ± 1.8degねじれていた.SCおよびSLは,それぞれ,-19 ± 3.5%,-18.8 ± 2.7%であり,有意な差はなかった.ASRは,42.5 ± 14.5%,PSRは61.6 ± 9.2%で有意にPSRが高値であった(p < 0.01).【結論】小児においても 2DSTIによる左室の局所壁運動解析は,十分可能であった.左室は収縮時,心尖部から見て反時計方向にねじれており,心筋繊維方向である円周および長軸方向の収縮は同程度であった.さらに,壁厚増加は前中隔より後壁が大きかった.

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