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III-D-13 |
小児期心疾患におけるBNP,ANP値と予後についての検討 |
埼玉県立小児医療センター循環器科
小川 潔,金沢貴保,齋藤亮太,平田陽一郎,菱谷 隆,星野健司 |
【目的】血漿B-type natriuretic peptide(BNP)は内科領域だけでなく小児においても心不全の良い指標として用いられている.BNPは心不全の診断だけでなく,重症度の評価や予後の判定にも有用であることが示されている.内科領域ではBNPが100pg/ml以上が心不全や心機能障害の指標とされ,400pg/ml以上は予後不良と考えられている.小児においてBNPやANPが予後判定に用いることができるのか,また基準値は内科と同様でよいのかどうか検討した.【方法】過去 6 年間に心不全があると診断しBNPおよびANPを測定した小児例のうち,BNPが100pg/ml以上であった例を対象に,予後不良の指標となるBNPおよびANPの基準値を検討した.複数回測定した例では最高値を検討した.【成績】対象は288例で,BNP > 400pg/mlが100例,200~400pg/mlが58例,100~200pg/mlが130例であった.死亡は31例で,4 例は感染症など心疾患以外の原因によるものであり,27例を死亡群とし,生存群257例と比較検討した.生存群のBNPは563 ± 1,187pg/ml,死亡群は1,702 ± 2,155pg/mlで,死亡群が有意に高値を示した(p < 0.0001).一方,ANPは生存群で586 ± 794pg/ml,死亡群で937 ± 1,200pg/mlであり,両群間に統計学的な差は認められなかった.死亡群のBNPは107.7~8,148.1pg/mlで,4 例を除き400pg/ml以上であった.予後不良の基準を400pg/mlとするとsensitivity 85.2%,specificity 70%であった.基準値を500pg/mlとするとsensitivity 75.5%,specificity 81.5%であった.【結論】BNPが400pg/ml以上の例では23%が死亡しており,小児においても心疾患におけるBNP > 400pg/mlは予後不良の良い指標となり得ると考えられた.一方,ANPは予後を予想させる指標としては適当でない. |
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