III-E-2
ファロー四徴症術後心室頻拍に対するカテーテルアブレーション
岩手医科大学第二内科・循環器医療センター1),岩手医科大学小児科・循環器医療センター2)
籏 義仁1),小山耕太郎2),高橋 信2),橘 英明1),椚田房紀1),外舘玄一朗2),佐藤陽子2),神崎 歩2),千田勝一2)

【背景】心室頻拍(VT)は,ファロー四徴症(TOF)心内修復術後患者のおもな死亡原因の一つである.3D-electroanatomical mapping system(CARTO)を用いて血行動態が破綻するか,または誘発不能なVTを含むすべての心室頻拍の回路または不整脈基質を同定し,カテーテルアブレーションを行う方法を検討した.【対象】TOFの心内修復術後にVTを発症した 6 例(男 5 例).年齢は30~56(43.3 ± 9.2)歳で,手術後28~46(36.2 ± 6.7)年経過していた.2 例はコントロール不良のVTがあるために,すでに植込み型除細動器(ICD)の植込み手術を受けていた.【方法】全例で冠静脈洞遠位からの心房ペーシング中にCARTOを用いた右室高密度電位マップを得た.健常心筋 > 1.5mV,瘢痕 < 0.1mV,それ以外を障害心筋部位と定義した.【結果】得られたすべての右室高密度電位マップ上の肺動脈-右室流出路間には,瘢痕を伴う低電位領域(LVA)が形成されていた.プログラム刺激によって 1 例に 1~3 種類のVTが誘発された.全 9VT中の 4VTは,瘢痕または三尖弁輪周囲を旋回するマクロリエントリ性VTであることが確認できた.これらマクロリエントリ性VTの持続中に瘢痕-三尖弁輪(TVA)間の広い範囲でconcealed entrainmentが得られた.3 例には血行動態の破綻するVTのみが誘発された.全例で瘢痕-TVA間の線状焼灼を行いVTは誘発不能となった.観察期間 4~32(16 ± 10)カ月間に 5 例にはVTの再発を認めない.【結語】TOF心内修復術後心室頻拍の根治には,瘢痕-TVA間の線状焼灼が重要と考えられる.

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