![]() ![]() |
III-E-12 |
先天性完全房室ブロックの臨床像と予後―拡張型心筋症発症を焦点に― |
国立循環器病センター小児科
黒嵜健一,小林奈歩,渡部珠生,宮崎 文,越後茂之 |
【背景と目的】先天性完全房室ブロック(CCAVB)の予後は人工ペースメーカ植込み(PMI)により大きく改善したが,拡張型心筋症(DCM)発症例の予後は不良である.前回,新生児期にPMIを施行したCCAVBはDCM発症が高率であることを報告した.今回はCCAVB全体の臨床像と予後を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】1982~2005年の間に当科を受診した完全房室ブロック81例のうち,胎児期または新生児期より徐脈を指摘されたCCAVB連続43例を対象とし,その臨床像と予後について診療録より後方視的に調査検討した.【結果】徐脈の診断時期は出生前(在胎27.8 ± 6.4週)36例(84%),出生時 6 例(14%),生後 6 日 1 例(2%)であった.在胎37.1 ± 2.8週,体重2,686 ± 559g,アプガースコア 1 分6.9 ± 1.6,5 分8.1 ± 1.4点で出生,帝切は13例(30%)で,合併疾患は胎児水腫 3 例,動脈管開存 6 例,心房中隔欠損 4 例であった.最終確認時年齢は 0~38歳(平均11.9 ± 10.1歳,中央値10歳)で,PMIが施行されたものは36例(84%)であった.PMIの主適応は心不全が23例,不整脈(心室頻拍,多形性心室期外収縮,QT延長など)が 9 例,失神が 3 例,家族の突然死が 1 例であった.PMI時期は新生児期18例,生後 3 カ月までに 6 例,3 歳までに 4 例,12歳までに 7 例,29歳で 1 例であった.【予後】死亡例は 8 例(19%)ですべてPMI後の症例であった.うち 3 例は生後 3 日未満で死亡(胎児水腫を伴う多臓器不全,心内膜線維弾性症,突然死).その後は 4 例が 7 カ月,3 歳,4 歳,11歳でDCM化して心不全死し,1 例を13歳で肺炎で失った.生存例のうちDCM化しているものは 4 例で,死亡例を含めてDCM化した計 8 例はいずれもPMI症例であった.【結語】PMIを必要としたCCAVBはDCM発症に注意が必要である. |
![]() |
閉じる |