III-E-15
自宅にて心室細動となるも自動体外式除細動器(AED)にて救命し得た特発性心室性期外収縮の 1 例
金沢医科大学小児科
高 永煥

基礎疾患のない特発性の心室性期外収縮(PVC)は通常予後良好とされているが,初診より 6 年後経過観察中に自宅にて心室細動(VF)となり,自動体外式除細動器(AED)にて一命をとりとめた症例を経験したので報告する.症例は18歳(高校 3 年)の女性である.小学校 6 年生の時,学校検診にて不整脈を指摘され受診.12誘導心電図にて単発のPVCを認めるも心エコー等では異常を認めなかった.中学に進学後Holter心電図にてPVC coupletを認めるようになったがtreadmil負荷試験では運動中,運動直後はPVCの出現なく,メキシレチン投与下で運動制限なしで経過観察していた.軟式テニス部に所属し,特に自覚症状も認めなかった.高校進学後PVC 3~5 連発認めるようになり,メキシレチン,ジソピラミド,インデラルの投与を行うも特にPVCの頻度には変化なく,treadmil負荷ではPVCの出現なく部活を続けていた.高 3 になり部活引退後Holter心電図にてPVC short runを認めるようになり,右室流出路起源でもありablationも考慮したが無症状であること,基礎疾患がないことより経過観察としていた.休日の夜間自宅にて休んでいる時に突然倒れ,心肺停止状態となり,母親(看護師)により心臓マッサージが施され,救急隊に連絡.到着時VF確認され,直ちにAED施行されsinus rhythmに復した.直ちに経過観察先の恵寿総合病院CCUに入院.移送中に意識は回復した.幸い神経学的後遺症なく 3 日後に国立病院機構金沢医療センター循環器科(坂上学先生)にてcatheter ablationを施行した.頻発するPVCは右室流出路の中隔側前寄りから発生しており,数回のカテーテル焼灼後に連発性のPVCは消失した.RI,MRI検査でも基礎疾患は認めなかった.

閉じる