III-P-13
Subarterial VSD閉鎖術の至適時期と手技についての 1 考察
筑波大学附属病院心臓血管外科1),筑波大学附属病院小児科2),茨城県立こども病院心臓血管外科3)
加藤秀之1),平松祐司1),野間美緒1),高橋実穂2),堀米仁志2),阿部正一3),榊原 謙1)

【目的】subarterial VSD(Soto I型)において,cusp prolapse(AVP)およびARの発生時期を正確に予測する手立てはなく,両者の可逆性を保証し得る至適手術時期も明らかではない.近年用いている連続縫合閉鎖手技の妥当性を評価するとともに,AVP,ARの発生と手術時期,予後を検証し,subarterial VSDの至適閉鎖時期や手技を推し量る一助とする.【対象と方法】2002年以降,連続縫合閉鎖手技(大動脈-肺動脈弁輪間組織を縫合線とする術式)を適用したsubarterial VSD 11例(手術時平均月齢36.6カ月,平均追跡期間20.0カ月)と,これ以前に結節縫合閉鎖を行った28例(手術39.5カ月,追跡60.0カ月)を対象とした.両群の手術,AXC時間と,遠隔期の肺動脈弁・大動脈弁機能を検討した.後期群である連続縫合群において,AVPおよびARの検出時期と手術までの期間を検証した.【結果】連続縫合subarterial VSD 11例の手術理由は,7 例がAR(I度以下),3 例がPH,1 例がMRであった.AR 7 例の初診はすべて生後 1 カ月以内,AVP(すべてRCCP)検出は生後 7~108カ月(平均36.4カ月),AR検出は生後 7~108カ月(38.4カ月),AVP検出からAR検出までは 0~10カ月(2.0カ月),さらにAR検出から手術までは 2~41カ月(16.3カ月)であった.結節群の手術時間247分,AXC 64分に対して,連続群は189分,34分であった.遠隔期には,結節群でmild PSを 8 例(28.6%)に,AR進行を 2 例(7.1%)に認めたが,連続群ではPS,PRの発生,進行およびAVP残存を認めていない.連続群の 1 例に残存したARは,術後24カ月までに消失した.【結論】subarterial VSDにおいて,AVPは生後36カ月頃から出現し,AVP出現後早期にARが検出された.軽度のAR検出から16カ月程度で手術を行う限り,AVP,ARはいずれも可逆的であった.連続縫合法は,肺動脈弁・大動脈弁機能をよく保持し,妥当な術式であると考えられた.

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