III-P-14
外科的介入が必要と思われた他疾患に合併した筋性部心室中隔欠損
東京大学医学部小児科1),東京大学医学部心臓外科2)
小野 博1),賀藤 均1),林 泰祐1),中村嘉宏1),杉村洋子1),渋谷和彦1),益澤明広2),土肥善郎2),高岡哲弘2),村上 新2)

【目的】外科的介入が必要と思われた,他疾患に合併した筋性部心室中隔欠損の治療およびその経過をreviewする.【対象】2004年 1 月~2005年12月東京大学医学部附属病院で心内修復術を施行された,外科的介入が必要と思われた筋性部心室中隔欠損を合併した 4 症例.【症例】(1)11カ月女児.膜様部心室中隔欠損,心房中隔欠損に合併した筋性部欠損.欠損孔はapicalに多発し最大で径 5mm.生後12日で肺動脈絞扼術を施行.11カ月時に心内修復術を施行.右室切開施行するも閉鎖できず.しかし術後 1 年で1.5mm前後で肺体血流比1.07となった.(2)9 カ月男児.膜様部心室中隔欠損,心房中隔欠損に合併した筋性部欠損.欠損孔はtrabecularとapicalに多発し最大4.5mm.生後 2 カ月時に肺動脈絞扼術を施行.9 カ月時に心内修復術を施行.trabecularはサンドイッチ法で閉鎖.apicalは残存.一時 4mm程度に欠損孔が拡大するも術後 4 カ月で自然閉鎖.(3)2 歳 9 カ月男児.ファロー四徴に合併した多発性の筋性部欠損.欠損孔はtravecularに多発.最大 5mm.1 歳 6 カ月時にBTシャント術を施行.2 歳 9 カ月で心内修復術を施行.最大の欠損孔はサンドイッチ法で閉鎖.その他は放置.現在術後 3 カ月で筋性部欠損残存.(4)11カ月男児.総肺静脈還流異常(IIa)に合併した筋性部欠損.trabecularとapexに多発.最大 4mm.1 カ月時心内修復術を施行.パッチ閉鎖を試みるも閉鎖できず.経食道エコーでシャント量は多くないためそのまま放置.しかし術後徐々に欠損孔拡大.他院にて肺動脈絞扼術を施行.【考察】他疾患に合併した筋性部欠損は術後のシャント量の評価が難しく,治療も容易でないため扱いに難渋する.放置しても自然閉鎖する例もあれば,逆に拡大し,さらなる治療が必要となる例も存在する.

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