III-P-20
開心術後難治性胸水に対してオクトレオチドが有効であった 2 小児例
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科心臓血管外科
櫻井 茂,石野幸三,笠原真悟,神吉和重,赤木禎治,泉本浩史,佐野俊二

乳び胸の治療にはMCT,TPNといった保存療法や外科的療法があるが治療に難渋することもある.最近オクトレオチドの有効性が報告されており,今回われわれは難治性の乳び胸に対してオクトレオチドが有効であった開心術後の 2 小児例を経験したので報告する.プロトコールはサンドスタチンを10μg/kg/日を 1 日 3 回の皮下注射または静脈注射で開始し,48~72時間間隔で 5~10μg/kg/日ずつ増量していった.40μg/kg/日を最大量として,漸次減量していった.【症例 1】1 歳,女児,心室中隔欠損症,肺動脈狭窄,右室流出路狭窄に対して根治術施行したが,術後 5 日目から両側乳び胸を発症し脂肪制限,MCTにもかかわらず 1 日500ml以上の胸水が続き最大800mlの排液を認めた.経過中にびまん性肺リンパ管拡張症を発症したため術後77日目からサンドスタチンを10μg/kg/日,1 日 3 回の皮下注射で開始すると胸水も減少し最大30μg/kg/日まで増量した.術後164日目にサンドスタチン投与を終了し術後180日目にドレーン抜去できた.その後胸水の貯留認めなかったが抜管困難で術後222日目に他院へ転院した.【症例 2】2 歳,女児,左心低形成症候群に対してTCPC施行.術後14日目に右乳び胸発症し,脂肪制限,TPN行ったが効果なく,最大300ml以上の胸水を認めた.術後64日目からサンドスタチンを10μg/kg/日,1 日 3 回の静脈注射で開始し,最大40μg/kg/日まで投与し,術後104日目でドレーン抜去でき,術後122日目に投与終了した.その後脂肪制限も必要なくなり術後129日目に退院した.

閉じる