III-P-24
当院で経験した先天性心疾患を有する18トリソミー 3 女児例
倉敷中央病院小児科
西恵理子,西 有子,豊田直樹,澤田真理子,美馬隆宏,脇 研自,新垣義夫,馬場 清

【はじめに】18トリソミーはその多くに先天性心疾患を合併する生命予後不良の疾患で,これまで治療を諦められてきた経緯がある.われわれは,家族と相談し希望があれば手術療法も含めた積極的治療を行い,患児が家族とよりよい時間を過ごすことを目標に取り組んでいる.最近経験した 3 症例を報告する.【症例】〈症例 1〉38週 2 日,体重1,822gで出生.DORV(subaortic VSD),PS,PH.日齢 4 まで挿管を要した.体重増加は乏しく 1 歳で2,200g.両親と院内散歩,自宅外泊を繰り返し,退院準備を進めた.1 歳過ぎに肝芽腫を合併し治療中,日齢389に突然心肺停止し死亡.〈症例 2〉39週 3 日,体重2,226gで出生.CoA,DORV(subaortic VSD),PDA.日齢 0 に挿管,PGE1-CD点滴を開始した.日齢10にCoA repair,PABを施行.術後抜管でき,退院を目指したが乳び胸を合併し日齢83に再挿管.その後,面会ルームを利用して兄を含めた家族との面会を繰り返した.胸水コントロールは困難で,日齢133に死亡.〈症例 3〉出生前より,UVHを指摘されていた.39週 6 日,体重2,096gで出生.UVH(LV type),CoA,hypoplastic distal arch,PDA.PDAは右左優位で閉鎖傾向なく,PGE1を使用せずに観察できた.体重増加も比較的よく日齢69に自宅退院.日齢81に自宅で突然心肺停止し死亡.【まとめ】生命予後不良の疾患といわれる18トリソミーであったが,今回は家族の受け入れがよく積極的な介入ができ患児と家族のQOL(quality of life)を上げることにつながったと思われた.今後,積極的な介入が難しい状況においても,患児のQOLを第一に,家族を支持する形での方針決定を目指すことが重要と思われる.

閉じる