III-P-25
47,XYY症候群にファロー四徴症,低身長を合併した 1 例
京都府立医科大学大学院医学研究科発達循環病態学
山元康敏,藤井麻衣子,糸井利幸,浜岡建城

【背景】47,XYY症候群は発生頻度1/1,000(出生),高身長,異常行動が特徴として挙げられるが,先天性心疾患と低身長を合併した報告は稀有であり,生存例は認められない.今回われわれは47,XYY症候群にファロー四徴症(TOF),低身長を合併した 1 例を経験したので文献的考察を加えて報告する.【症例】症例は37週 4 日2,148gにて出生.生直後よりチアノーゼ,心雑音を認め,心エコーにてTOF,動脈管開存(PDA)と診断.日齢10よりlipo PGE1製剤の投与を開始し,生後 2 カ月時に心臓カテーテル検査を施行された.日齢78にて姑息手術(right modified-BT shunt + left PA plasty)が施行され,日齢104に退院となった.術前染色体検査にて(TOFにおいて約10%にみられるとされる)22q11部分欠失は認められず47,XYYが確認された.術前後に神経学的所見は認められなかった.月齢 7 カ月半に身長65cm(-2.3SD)の低身長が認められ,現在外来経過観察および根治手術待機中である.【考察】47,XYY症候群は上記特徴が挙げられるが表現型の詳細は不明であり,先天性心疾患を合併した症例の報告は数少なくTOFの合併例は認められない.一方,低身長に対する成長ホルモン療法(GH療法)では心肥大惹起の可能性が指摘されており,本症例で治療が必要な際には右室流出路狭窄の増悪が危惧されるためGH療法の適応について十分な検討が必要である.【結語】47,XYY症候群にファロー四徴症,低身長を合併した 1 例を報告した.今後,身長をはじめとする身体所見および精神神経学的所見のさらなる経過観察が肝要と考えられた.

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