III-P-31
肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症の検討
大垣市民病院胸部外科
石本直良,玉木修治,横山幸房,石川 寛,六鹿雅登,田内宣生,倉石健治,西原栄起

【はじめに】肺動脈弁欠損を伴うFallot四徴症は中枢,末梢を問わず肺動脈が原因で生じる気道狭窄による呼吸不全を特徴とし,狭窄の部位と程度により重症度の異なるまれな疾患である.今回われわれは当院で経験した本疾患5例を検討し,文献的考察を加え報告する.【対象と手術】1989~2005年12月に手術介入した 5 例のうち 3 例は幼児期(1 歳 3 カ月~1 歳10カ月)症例で術前呼吸器症状は比較的軽度であったのに対し,乳児期(いずれも 8 カ月)の 2 例は重篤な呼吸器症状により術前より人工呼吸管理を必要とした.術前の造影による肺動脈径(% of normal)は右138~279,左146~360であった.手術は全例において一期的心内修復術を施行,初期の乳児期症例に人工弁を使用した手術が施行されたが,他の 4 例はMVOPによる右室流出路再建が施行された.なお最近の 3 例(乳児期 1 例,幼児期 2 例)では拡張した左右肺動脈に対し130% of normalをめどに肺動脈縫縮術を施行している.【結果】人工弁を使用した症例を術後8日目にLOSで失った.耐術例の術後気管内挿管期間は術前より人工呼吸管理を必要とした乳児期手術例で13日間を要したが幼児期手術 3 例ではともに 5 日以内であった.術後心カテーテル検査ではCVP(mean):7 ± 1.7mmHg,RVp(syst.):39 ± 10mmHg,PAp(syst.):34 ± 8mmHgと計測された.また肺動脈縫縮術を施行した 3 例の術後肺動脈径(% of normal)は右90~149,左103~181であった.【まとめ】幼児期に根治術を施行し得た症例の手術成績,予後はともに良好であった.新生児期に手術介入を迫られた症例は経験していないが,術前より人工呼吸管理を要した乳児期症例では肺動脈縫縮術の有無が予後を左右した可能性があり,本疾患での肺動脈縫縮術の重要性が示唆された.

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