III-P-33
Fallot四徴症根治術後早期の左肺動脈屈曲狭窄に対しGenesis stentを留置した 1 例
京都大学医学部附属病院小児科1),京都大学医学部附属病院心臓血管外科2)
岩朝 徹1),濱本奈央1),馬場志郎1),鷄内伸二1),平海良美1),土井 拓1),中畑龍俊1),池田 義2)

【背景】胆道用第 2 世代ステントであるGenesis stentの心血管系に対する有用性は国内での報告例は少なく,また術後早期に使用した報告も少ない.【症例】1 歳 4 カ月・体重10.6kgの男児.Fallot四徴症・左肺動脈低形成のため 2 カ月時に当院にてlt. modified BT-shunt術を施行後,1 歳 2 カ月時に根治術を施行した.術直後は左肺動脈血流は良好に確認できたが,術後10日の時点でエコー上左肺動脈の強い狭窄を認め,肺血流シンチでも左右比3.6:96.4と著明な左肺の血流減少を確認した.術後27日で心臓カテーテル検査・PTAを施行したが,左肺動脈が分岐直後で狭窄しており,PTAは無効であった.ステントの適応と考えられ,十分なインフォームドコンセントを得たうえで左肺動脈温存のため,術後51日目にステント留置を施行した.最狭窄部径は1.5mmであり,リファレンス径は4.5mmであったため,6Fロングシースを用い 6mm × 12mmのGenesis stentを選択・留置した.【結果】ステント留置後肺血流シンチで左右比20.4:79.6,mPA-lPAの圧較差も10→3mmHgと改善を得た.留置時,ガイドワイヤーの狭窄部通過にやや苦慮したが,ステント自体は鋭角に屈曲した肺動脈分岐部を容易に通過し,留置に際してトラブルはなかった.今後は最大径の7.5mmまで追加拡張を行い,最終的には左肺動脈形成術を施行予定である.【結語】flexibilityが良好でlow-profileであり,小口径シースで使用可能なGenesis stentは,これまでのPalmaz stentでは不可能と思われた屈曲した肺動脈分岐部狭窄への留置が可能で,乳児の症例にも有用であった.早期の心血管系への保険適応が望まれる.

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