III-P-34
冠動脈肺動脈瘻を合併したTOF,PAの 1 例
九州厚生年金病院心臓血管外科1),九州厚生年金病院小児循環器科2)
神尾明君1),梶原敬義1),落合由恵1),坂本真人1),井本 浩1),瀬瀬 顯1),弓削哲二2),渡辺まみ江2),城尾邦隆2)

【症例】3 歳の男児,12.5kg.在胎36週,3,360gで出生した.出生直後より心雑音,チアノーゼがあり,TOF,PA,Lt. PA interruption,Lt. coronary AV fistula to MPA,MAPCAsの診断であった.RPAはLt. coronary A. からMPAへのfistulaによってのみ灌流されており,LPAはLt. subclavian A. およびDes. Ao. からのMAPCAsによって灌流されている状態で,SpO2は80%台で経過していた.徐々にRPA圧が上昇,心不全症状出現のため手術を施行することとなった.【手術】修復術に先立ってLt. subclavian A. からLPAへの大きなMAPCAを残し,Des. Ao. からLPAおよびRPAへのMAPCAs(ともに小さかった)に対してコイル塞栓術を行った.手術は,胸骨正中切開で体外循環下にLt. coronary A. からMPAのfistulaを切離,連続縫合にて閉鎖し,VSDをパッチ閉鎖した.右室流出路の再建は,後壁に自己組織の連続性を保ってePTFE 1 弁付きパッチを用いた.LPAの再建は直接吻合が困難であり 8mmの人工血管を用いた.【術後経過】術後経過は良好で,術後の心カテでは,RV 48/7mmHg,RPA 45/6mmHg,LPA 31/4mmHgと若干の圧較差があるものの肺血流シンチではR:L = 55:45と血流の左右差を認めなかった.また,心筋シンチでは冠血流に問題はなかった.現在は外来経過観察中である.【結語】Lt. coronary AV fistula to MPA,Lt. PA interruptionを合併したTOF,PAの 1 例に対して一期的修復術を行い,良好な結果であった.

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