III-P-39
完全大血管転位に対する術前心臓カテーテルの必要性
静岡県立こども病院循環器科1),静岡県立こども病院心臓血管外科2)
伴由布子1),古田千左子1),原 茂登1),満下紀恵1),金 成海1),田中靖彦1),小野安生1),坂本喜三郎2)

【背景】近年,完全大血管転位に対する心エコー診断技術と手術成績の向上に伴い,欧米の主要施設では診断目的の術前心臓カテーテル検査が省かれる傾向にある.【目的】当院での成績をもとに,本症に対する術前心カテの必要性を検討する.【対象】当施設で1998年 1 月~2006年 1 月の 8 年 1 カ月の間に,Jatene術を行ったTGA 1 型,2 型の28症例.【方法】当院では2004年の12月からTGA 1 型および 2 型に対し,心房中隔裂開術(BAS)必要症例以外の術前診断カテは行っていない.また,BASの適応はSpO2 < 70%の持続,またはPO2 < 20mmHg,reversed differential cyanosisの存在がある場合としている.そのなかで,術前心カテを行った群と行わなかった群を比較する.【結果】28症例中20例(71%)がTGA 1 型で 8 例(29%)が 2 型だった.術前心カテを行わなかったのは 4 例.1 型の20例中 8 例(40%)でBASを施行した.実際の冠動脈Shaher分類は,1 型14例(50%),2a 8 例(29%),その他 6 例(21%)で,エコー診断との一致率は82%だった.1 型の手術時の日齢は 4~18,中央値は11日で,そのうち術前カテなしの 4 例では日齢 5~11日であった.【結論】大血管転位における術前心臓カテーテル検査は,術前管理期間が長期にならなければ,必ずしも必要ではないと思われた.

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