III-P-41
三尖弁異常を伴う修正大血管転位の予後―修正大血管転位37例の解剖学的特徴と臨床経過―
神奈川県立こども医療センター循環器科
柳 貞光,中本祐樹,上田秀明,林 憲一,康井制洋

【目的と対象】1970年以後当院で経験したatrioventricular discordantおよびventriculo-arterial discordant例37例の解剖学的特徴と臨床経過を明らかにする.【方法】初診時の主訴,解剖学的特徴(心房位,心臓の位置,大血管関係,心室中隔欠損の有無,肺動脈狭窄の有無とその形態,両房室弁の形態),房室伝導障害の有無についてretrospectiveに調査した.また治療の経過についても検討した.【結果】初診時は心雑音48.7%,チアノーゼ24.3%,多呼吸 8%,除脈 8%,胎児エコー 8%で近年胎児エコー診断例が増加していた.解剖学的にはsitus solitus 86.5%,situs inversus 13.5%,大動脈の肺動脈に対する相対的位置はsitus solitusの84.4%が左前,9.4%がside by side,6.3%が前に位置していた.合併奇形については心室中隔欠損70.3%,肺動脈異常64.9%,三尖弁異常59.5%,僧帽弁異常8.1%認め,房室ブロックは 3 度13.5%,1 度13.5%に認められた.外科治療は59.5%に行われ,double swtich 9%,TCPC 18.2%,その他59.3%だった.死亡症例と生存症例を比較すると死亡症例にmoderate以上の三尖弁閉鎖不全を伴う症例が有意に多く(p < 0.01),三尖弁形成術もしくは置換術を受けた症例が有意に多かった(p < 0.01).【結語】解剖学的特徴ではほぼこれまでの報告と著変なかった.診断のきっかけとして胎児エコーが増加傾向にあった.死亡症例は手術に起因するものが多く生存例に比して有意に三尖弁の異常を伴っていた.

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